子猫たちがいるエリアの前は人だかりができて、間近で子猫を見ることができませんでした。
息子のジャックは人が減るのを待とうと成猫のエリアの中に入り、置いてあった椅子に座りました。
すると、猫用のベッドの下から茶トラの猫が飛び出して来て、ジャックの膝の上に飛び上がったのです。

とても初対面とは思えないフレンドリーな猫は、ジャックの膝の上で喉を鳴らし、ジャックの足を小刻みに蹴ってとても気分がいい様子でした。

『そろそろ子猫を見た方がいいんじゃない?』
子猫の前が空いてきたので声をかけるまで、茶トラの猫はジャックの膝の上で絶好調な様子だったのです。

ジャックを連れて子猫のエリアへ戻っていったとき、茶トラの猫が飛び出してきたベッドの下へ急いで戻るのが見えました。

誰かが茶トラの猫をベッドの下から誘い出そうとしていましたが、猫はそこから出てきませんでした。

ジャックと子猫たちを見た後、成猫のエリアに戻ると、茶トラの猫の姿が見当たりません。
私とジャックが一生懸命探していると、なんと、ジャックの足元に茶トラの猫がぴったりと付いて来ていたのです。
ジャックの心はすっかり茶トラの猫に奪われていました。
そして私も。

13年前のその日、茶トラの猫ジギ―は私たちの家族に加わりました。

ジギ―は4歳、保護されたときは通りをさまよっていたそうです。
栄養失調で衰弱していたそうですが、ジギ―の短めの足は栄養失調だったときの名残だそうです。
でも、施設で回復したジギ―は、うちへ来たときから元気いっぱいでした。
私は短めの足も、かすれ気味の鳴き声も、大きないびきも、お腹の余分なタプタプもチャーミングだと思いました。

フレンドリーで愛情深いジギ―は、とりわけ息子のジャックとの間に深い友情をはぐくみました。
13年前にジャックの膝に飛び乗ったジギ―は、今年17歳になり、息子のジャックは22歳になります。
彼らの友情は13年経った今も変わることはありません。

13年前と違うのはジャックが軽々とジギ―を抱き上げることくらいでしょうか。
抱き上げられたジギ―はとても誇らし気な顔をしています。

ジャックとジギ―の友情を間近で見守ってきた私は、彼らの絆の深さに数えきれないほどのぬくもりと喜びをもらってきました。
ジギ―が私たちを選んでくれたことに、私は感謝しかありません。

シェルターでジギ―を見失った時、ジャックも私もすでにジギ―に心を奪われていました。
ジャックの足元にジギ―を見つけたとき、間違いなくジギ―が私たちを選んでくれたのだと思いました。

成長した彼らが今も友情を深めている姿は、見守ってきた私たちも豊かにしてくれます。