シェルターのスタッフは家族の申し出を実行することはありませんでした。
そしてなんとかトビーを救いたいと考え、ノ-スカロライナ州ローリーにあるウェーク郡動物虐待防止協会(SPCA of Wake County)に連絡を取りました。
シェルターのスタッフに、すぐにトビーを受け入れ新しい家族を探すことができるかと尋ねられた私たちの答えは『YES!』でした。

SPCAで早速獣医師の診察を受けたトビーは、上気道感染症にかかっていて治療が必要な状態でした。
さらにFIV(猫免疫不全ウィルス感染症)に陽性反応を示していたのです。
健康を取り戻すために治療を始めたトビーはすぐに施設スタッフに甘えるようになりました。

たしかに施設にやって来たトビーは毛並みが荒れてブラッシングの必要がありました。
しかし、感染症さえ治せば他に問題はありませんでした。

トビーの感染症の治療には少し時間がかかりました。
しかし、次第に元気を取り戻してきたトビーはスタッフ達とたくさんのオモチャで遊ぶようになり、スタッフたちはトビーのフレンドリーで甘い個性の虜になっていきました。

感染症から回復したトビーの新しい家族を探す時期が来たとき、私たちは施設のFacebookにトビーの経験を投稿しました。
すると、その投稿はすぐに多くの人に共有され、たくさんのメディアが注目して私たちの想像以上の反響を呼びました。

SPCAの地元に暮らすミシェル・パケットはニューハンプシャー州に住む姉妹からトビーの話を聞いて施設の投稿を見ました。
すると彼女はすぐに仕事を切り上げてSPCAへ駆けつけたのです。
ミシェルはトビーを迎えに行くことに一瞬も躊躇せず、施設でトビーに会うと引き取りの手続きをしたのです。

ミシェルの家には2匹の猫と彼女の小さな娘がいました。
トビーが施設にいたとき、彼には苦手なタイプの猫がいたため1匹飼いが適していると思われていたのですが、ミシェルは先住猫たちといつも一緒に過し仲良くやっていると話しています。

トビーがシェルターに連れてこられたとき、元の飼い主の申し出を聞いたシェルターのスタッフは驚くことはありませんでした。
残念なことにトビーのようなケースは決して珍しいことではないのです。

SPCAの投稿を伝えるメディアの中には、元の飼い主を2度とペットを飼えないようにブラックリストに載せるべきだと主張するところもありました。
しかし私たちはトビーのストーリーをより多くの人に知ってもらい、彼のように辛い経験をした動物が2度目のチャンスを得る機会が増えることを目指したいと考えました。

ミシェルはトビーののびのびと暮らす様子を見て、とても満足しています。
『とても甘く、愛情深くて私はトビーが愛おしくてたまりません。
彼は私と娘が眠る枕もとに眠るのが大好きです。』
そしてこう付け加えました。
『元の家族がトビーを傷つけた理由がどうしても理解できない。』と。

7歳のトビーは彼自身を救うために長い道のりを歩いたとき、トビーが目指した家族は彼にふさわしくありませんでしたが、彼が19.3kmを歩いた先には彼にふさわしい家族が待っていました。

トビーのストーリーは今まであまり語られることがなかった心無い飼い主やブリーダーに簡単に捨てられている動物たちがたくさんいることを広く伝えるきっかけになり、多くの人に衝撃を与えました。
SPCAが願うように、辛い思いをするペットが減るように、そんな動物たちに2度目のチャンスがたくさん巡ってくるように、人の意識が変わっていくことを願うばかりです。