オレゴン州の地方にある小さなシェルターに自宅の周りに現れる野良猫を連れて来た人がいました。
丸く大きなほっぺたと、人懐っこいその猫は、薄汚れた身体のいたるところに争った傷跡が残されており、野良猫の過酷な暮らしを物語っていました。

クランシーと名付けられた猫は獣医師の診断を受けると歯と膀胱に異常が見つかり、さらに、猫免疫不全ウィルス感染症(FIV)に陽性反応を示していました。
しかし、小さなシェエルターには治療をするための十分な装備がないため、応急処置を施すしかありませんでした。
そこで、シェルターは同じオレゴン州の動物保護施設、CAT(Cat Adoption Team)に助けを求めました。
CATは、20年前に活動を開始して以来、FIVの猫を積極的に受け入れていたのです。

クランシーを受け入れたCATでは、早速医療チームがクランシーの治療にあたりました。

身体をきれいにし、抜歯と手術の必要があった歯、感染症を起こしていた膀胱の治療を行いました。
推定6~7歳のクランシーは、施設の暮らしにすぐに馴染、スタッフに声をかけてもらうのがとても嬉しくてたまらない様子でした。

療養中のクランシーは厳しい環境を生き抜いてきた野良猫とは思えないとても甘い猫でした。
スタッフとふれあうごとにクランシーの隠れていた魅力が引き出されて行きました。

順調に回復をみせるクランシーは、声をかけるスタッフに返事をするような鳴き方をするようになり、スタッフ達の心をガッチリつかんでしまいました。

必要な治療を終えたクランシーに家族を見つける時期が来たとき、あるスタッフが自分と会話を交わすクランシーの動画を投稿しました。
クランシーに興味を持ってもらうには彼とのやり取りを見てもらうのが一番だと考えたのです。

すると、クランシーの動画はあっという間に数千人の人に共有され、たくさんの人からクランシーへの励ましのメッセージが届き、施設の活動に共感した人たちからは寄付が寄せられました。

動画はみるみるうちに再生回数を増やしていき、クランシーを引き取りたいと言う応募者もたくさん現れました。
そして施設は、候補者の中からサンディーさんに白羽の矢を立てたのです。

クランシーは施設がベストマッチと太鼓判を押したサンディーさんに家族として引き取られ、王様のような暮らしをしているそうです。

野良猫の過酷な暮らしから、近所の親切な人に救われたクランシーは、彼の病気を理解した上で家族に迎えてくれたサンディーさんと出会うことができました。
FIVに感染したクランシーを何とか助けようとしたシェルターや、クランシーの個性に心を奪われ、彼に幸せになってほしいと願った施設のスタッフたちの想いが通じたのです。

クランシーは、自分と同じ境遇の猫たちに自分と同じように幸せを掴む手助けをして永遠の家へ旅立って行きました。

クランシーの動画は、メディアにも取り上げられ、すでに再生数が18万回に上っています。
ぜひご覧ください。