オーストラリアにあるAnimal Welfare League(動物福祉連盟)に2015年12月、3歳のシャンパースは保護されました。
一見、神経質そうに見えるシャンパースですが、とても愛情深い性格の彼は、私たちスタッフに可愛がられる存在になりました。

シャンパースには食物アレルギーがあり食事には配慮が必要ですが、他の健康面には何の問題もありません。
遊びが大好きで、夢中になると元気が良過ぎる傾向があるので小さな子供より、大人に遊んでもらう方が向いているかもしれません。

ほかの猫たちが次々に新しい家族のもとへ引き取られていく中、シャンパースはなかなか出会いに恵まれず、気がつけばシェルターで2度目のクリスマスを迎えてしまいました。

シャンパースはとてもシャイで人見知りな一面があり、いつもケージの奥に隠れるようにしていました。
そのためシェルターを訪れる人たちに彼の存在を気づいてもらうことさえできませんでした。

シャンパースの愛情深い性格を知るスタッフたちはとても残念に思っていたのです。

シェルターはシャンパースに何とか人見知りを克服してもらおうと、ある仕事を任せることにしました。
それはフロントデスクのスタッフとして、シェルターを訪れるすべての人をお迎えする仕事でした。

フロントデスクのセンターにシャンパースのスペースを設け、彼はその場所でシェルターの来客すべてを迎えるのです。

はじめは戸惑っていたシャンパースでしたが、次第に知らない人や犬、ほかの猫とふれあうことに慣れはじめ、フロントデスクでのびのびと過ごせるようになっていきました。

シェルターを訪れる人やペットたちと、日々接していくうちにシャンパースは少しずつシャイで人見知りな一面が影を潜めて行きました。

スタッフ達はここでシャンパースのためにもうひと押し力になろうと考えました。
シェルターのSNSを通じてシャンパースに最高の家族を探そうとバレンタインデーを目標に小さなキャンペーンをはじめたのです。

シャンパースの写真を投稿するとき、スタッフが考えたユニークであたたかいメッセージを段ボールの切れ端に描いて一緒に撮影したのです。

中にはかなりユニークなものもありました。

『私は愛を探している独身の白人男性です。』なんてね。

『私はあなたの書類の上でロマンチックな昼寝をするのが好きだし、あなたの小銭の匂いを嗅ぐのも好き。そして、あなたの小物の上で丸くなります。』

・・・シャンパースはこんな癒しをフロントスタッフに提供していたのですね。

シャンパースがシェルターに来て436日。
それは2017年バレンタインデーの4日前のことでした。

シドニーに住むネイサンさんがシャンパースに会いたいとシェルターを訪れたのです。
ネイサンさんは、アムステルダムに住む彼の親戚からシャンパースの話を聞き、会ってみたいと思ったそうです。

シャンパースとネイサンさんが対面したとき、スタッフはシャンパースがようやく理想の家族と出会うことができたと確信しました。

ネイサンさんはその日、シャンパースと一緒に帰って行ったのです。

『自宅に着いたシャンパースは、私の手を甘噛みすると私のベッドの上で眠ってしまいました。彼とはいい家族になれそうです。』
甘噛みはシャンパースの精一杯の感謝の表現でした。

シャンパースのいないシェルターのフロントデスクはちょっと寂しい気がします。
でも、ケージの奥で個性を発揮できずにいたシャンパースはフロントデスクに立つ勇気を持ったことで今の彼の幸せを引き寄せました。
シェルターではスタッフたちがシャンパースの旅立ちに興奮し、みんなで喜び合いました。