2012年11月、生後2か月の柴犬ガク(岳)は家族のもとへやってきました。
先代のフレンチブルドック、ブースカを亡くして7か月、ヤンチャなガクを優しく迎えてくれたのが先輩猫のタラヲでした。

ガクは優しいタラヲが大好きで兄のようなタラヲの傍にいつもくっついていました。

順調に成長したガクは、体が大きくなってもやっぱりタラヲの傍を離れませんでした。
お昼寝の時はタラヲの背中に大きな頭を乗せて甘えていました。

元は保護猫だったリンリンはヤンチャなガクとは少し距離を置いていました。
リンリンもタラヲのことが大好き。
一緒にお昼寝をするときは同じベッドに丸まって眠りました。

先代ブースカが亡くなったことを受け入れられず、体調を崩すほど哀しんだママでしたが、新しく家族に加わったガクとリンリン、そして2匹の優しいお兄ちゃんとなったタラヲのおかげで再び笑顔を取り戻すことができました。

2016年6月。
15歳のタラヲは末期の腎不全と診断されてしまいました。
人間でいえば80歳。
いつかはお別れが来ると思っていても、何の前触れもなく告げられた病名になかなか現実を受け入れることができないママ。

仕事で家を離れることが多いパパが、秋田へ出発の身支度をしていたとき、すでに食べることもままならず辛い状況だったタラヲはパパの足にスリスリしに来ました。

病名が判明して1か月もたたない6月26日。
タラヲは家族に見守られ、虹の橋を渡っていきました。

ママは日常のふとした場面でタラヲのいない現実を突きつけられ、涙を流す日々が続きました。

『岳やリンリンも元気がありません。タラが居て当たり前の15年間‼
当たり前の事がこれ程大事な事だったと失ってみて初めて知った気がします。』

ある日、独立している娘さんから写メが届きました。

お友だちの家の近くに現れる茶トラの子猫を飼わないかというのです。
『とても人懐っこくて可愛いんだよ!もう1匹飼う?』

でもその時はタラヲが亡くなって49日にも満たなかったため、タラヲに申し訳ないという気持ちもあり、色々考えて断ることにしました。

すると数日後。
再び娘さんから、今度は動画が届きます。

先日写メで送ってくれた子猫の動画でした。
野良猫なのに知らない人間に触らせてくれる子猫、その姿にママは人懐っこかったタラヲを重ねました。

『この子を逃したらきっと後悔する。』
ママは決心しました。

2016年8月12日。
こうして家族のもとへやって来たのが生後約3ヶ月のトラ(寅次郎)でした。

初めての日、興味津々で近付いて来る大きなガクに、トラは怯えてしまい『シャーッ!!』と威嚇しました。
でも、ガクは諦めずトラの後を追っていました。

翌日、ママが気付くと岳と寅次郎は一緒に寝ていました。

どうやらガクの想いはトラに届いたようです。
その日からガクとトラは寄り添って過ごすようになりました。

ガクはいつも感じていたタラヲのぬくもりをトラに感じることができ、ひとりぼっちだったトラは、大きくて温かなガクにきっと安心することができたでしょう。

人懐っこいトラの登場、トラとガクが寄り添う姿は家族に再び温かな笑顔をもたらしてくれました。

絆を深めていくガクとトラをよそに、リンリンはなかなかトラに馴染むことができずママはとても心配しました。
仲のいい2匹と距離を置き、いつもタラヲと寝ていたベッドにひとりでいるリンリンはまるで“蚊帳の外”。

しかしトラは、リンリンを諦めていませんでした。
時間はかかったけれどリンリンの心に寄り添い、リンリンの方も次第にトラを受け入れるようになっていきました。

初めてトラとリンリンが同じベッドでお昼寝をしているところを見つけたとき、ママは心の底からホッとしました。

トラは家族に温かな風を吹き込み、いつの間にか家族それぞれの哀しみを癒していました。

すっかり成長したガクとトラは、今でも兄弟のようにぴったりと寄り添っていてその友情は変わりません。
リンリンとトラの仲もうまくいっているようです。

タラヲが天国に旅立ったとき、ママにとって唯一の慰めは先に旅立って行ったブースカがタラヲを待っていてくれることでした。
きっと2匹は久しぶりの再会を果たし、タラヲはまたブースカに甘えていることでしょう。
ママは、ブースカとタラヲがなかなか夢に現れてくれないと淋しく思うことがあるようです。
でもそれは、たぶん、2匹がそれだけ充実した人生を送っていたから、何も思い残すことがなかったからではないでしょうか。
きっと2匹は並んで家族を見守っています。

家族の間には、今もかけがえのない瞬間が積み上げられています。