子猫は私の地元カリフォルニア州にある猫のコロニーで育児放棄され栄養失調になりかけているところを保護されていました。
保護したのは地元のレスキューグループMeoowzResQ。
彼らから養育を依頼された私は10歳の弟ザックを連れて車で向かいました。

子猫をザックに預け自宅へ向かい始めたのですが、怯えた子猫は落ち着かない様子で鳴き続けていました。

ザックは膝の上に毛布を置いて、鳴き続ける子猫を両手で包むと優しく声をかけながら頬ずりをしたりキスをしていました。

はじめはザックの身体を上って逃れようとしていた子猫は、ザックの手の中で次第に落ち着きを取り戻し、しばらくすると眠り始めたのです。
その後、自宅に着くまでの約30分、子猫は一度も目を覚ますことはありませんでした。

ザックはまだ10歳ですが、私はザックに絶大な信頼を置いています。
彼は、これまで私が預かり育ててきた子猫たち、約100匹の成長を支えてくれました。

狂ったように鳴いていた子猫も、きっとザックの手の中なら安心することができる・・・私はそう確信していました。

自宅に着いた子猫を待っていたのは最近出産したばかりのトワイライトでした。
私は、コロニーで栄養失調になりかけていた子猫に、本当のママのようにミルクを与えてくれるトワイライトの力を借りようと考えていました。
ママ猫のミルクは生後間もない子猫にとって、その後の免疫力を左右する大切な役割をします。
生後数週間で発見されたこの子猫にトワイライトのミルクを少しでも飲ませてあげたかったのです。

初めて会う子猫をトワイライトは歓迎してくれました。
子猫を包むように座ると、早速毛繕いを始めました。

ところが、めまぐるしく変わる環境の変化に怯えた子猫は、トワイライトの胸元で精一杯の声を張り上げ泣き叫んだのです。
子猫の意外な反応にトワイライトは困惑していました。
鳴き続ける子猫を前に、トワイライトはお世話を続けることができませんでした。

私は子猫にアリエルと名前を付けました。
子猫たちのミルクの時間になったとき、私はアリエルに学んでもらわなければならないことがありました。

アリエルは保護されて以来、シリンジを使ってミルクを飲んでいました。
アリエルはママ猫代わりのトワイライトからミルクをもらうことを学んでもらわなければなりませんでした。

トワイライトの胸にアリエルを下ろしてみると、他の子猫たちはミルクをもらっているのに、彼女はどうしていいか分からず、ただ鳴いていました。
シリンジを探し始めたらしく、トワイライトの傍から離れてしまいます。
それを見たザックはアリエルを抱きしめ、彼女が離れようとするたびにトワイライトの胸に繰り返し戻してあげました。
アリエルはほかの子猫と並んでミルクをもらうことを学ぶために、再びザックの力を借りていました。

ザックに助けられ、アリエルは徐々にほかの猫の中に溶け込んでいきました。
数日後、アリエルはトワイライトのまなざしや温かさを求めてママ猫の居る場所へ走っていくようになりました。
トワイライトに抱きしめられ、毛繕いをしてもらい、彼女の胸元で他の子猫たちと一緒に眠ることもできるようになりました。
トワイライトのふかふかの温かさに包まれると、アリエルは至福の表情を浮かべるようになりました。

母親を必要とするときにひとりぼっちになってしまったアリエルは、同じ年頃の他の子猫たちより体も小さく、生きるための様々なことに後れを取っていましたが、今では体の大きさが追いつき、あらゆる面で引けを取らないほど成長しています。

弟のザックは、学校へ向かう前に全ての子猫たちに挨拶をし、夜ベッドに入る前に必ず子猫たちにお休みのキスをします。
そして一番最後にママにキスをしてベッドに入ります。
それは彼の毎日の習慣になっています。
アリエルの未来への希望を支える大きな力になったのはザックでした。
私は子猫たちに愛情を注ぐ弟ザックの成長も楽しみにしています。