子猫はひっきりなしに行き交う車に怯えて道路わきの水道メーターの下に潜み、とても大きな声で鳴いていました。

夫が近付いて行くと、子猫はそこから出て来て彼に駆け寄ってきました。
そして精一杯の声を張り上げて鳴いたのです。
『お腹空いた!』

姿を見せた子猫に私たちは心が痛みました。
ほとんど骨と皮だけに痩せ細り、全身がとても汚れていてお腹を空かせているのが分かりました。

そのまま子猫を残して立ち去ることができず、一緒に連れて帰ることにしました。

子猫は人間なら食べ物を分けてくれる、そう思ったのかもしれません。
夫が子猫を掬い上げたとき、小猫はほとんど抵抗しませんでした。

子猫はその痩せた身体が一番の問題でした。
ただ、炎症を起こしかけていた目がわずかにピンク色をしていましたが、3日ほどで自然にきれいになりました。

やっと動物病院へ連れて行くことができました。
獣医師は子猫のお腹の虫を駆除し、全部きれいにしてくれました。

治療を受けた子猫はほんの2、3日ですっかり健康を取り戻し、彼本来の姿を取り戻して私たちと遊べるようになってきました。

私たちは子猫にカランと名前を付けました。

カランは1週間もすると活発な彼の個性を発揮し始め、我が家での暮らしを楽しめるようになりました。

そして10日後、いたずらをするほど元気が出てきたカランは、出会ったときの姿からは想像もつかない別の子猫に変わりました。

私たちは3匹の猫と一緒に暮らしてきました。
カランと同じようにそれぞれ助けが必要だった猫たちです。
カランが回復する間部屋を分けていたのですが、そろそろそれも限界になっていました。

私と夫はカランを連れて帰ったとき、彼の回復を待って引き取り手を探そうと話していました。
その時期が来たと思っていたのですが・・・
彼らを引き合わせたとき、その計画は覆ることになりました。

カランは3匹の猫たちにとても友好的でした。
4匹がすっかり馴染んでしまうのに2日とかからなかったのです。
元からいた3匹は、すぐに彼らのお気に入りのベッドの上にカランを誘い、いつも一緒に過しました。

4匹はお互いに抱き合ってお昼寝をするようになり、家中を走り回って一緒にいたずらを企てるようになりました。

3匹にとってカランは可愛い弟のような存在になったのです。

カランが家族に加わって約3ヶ月が経とうとしています。

カランはますます元気でいたずら好きな猫に成長しています。
いつも3匹の兄たちに囲まれて、次のいたずらの作戦を練っているようです。

カランと初めて会ったとき、今の彼は想像もできませんでした。
だけど、夫に大きな声を張り上げたカランは、自分の居場所に向かってすでに歩き始めていたのです。