2016年、ある農場を購入した人がそこにコロニーを形成する約60匹の猫を発見し、TinyKittensが保護に乗り出しました。
そこで保護された26匹の猫の中に、老猫のメイソンがいました。

メイスンを始めて目にしたスタッフたちは、彼の身体に残る毛が抜け落ちた無数の傷跡に心を痛めていました。

施設で獣医師の診察を受けたメイソンは、しっぽの数か所に骨折が見つかり、右前足の肉球は赤く腫れ上がっていました。
そして、進行性の重い腎臓病を抱えていることが分かり、彼に残された時間はあまりないと診断されてしまいました。

メイソンは怯え、怒り、人間を受け入れようとはしませんでした。
一緒に保護された猫たちが次第に施設の暮らしに馴染んでいく中、メイソンだけはほかの猫すら近づけず、スタッフが彼に触れようとすると牙をむき爪を立てて頑なに心を閉ざしたままでした。

施設は、痛みと苦痛を抱え過酷な暮らしをしていたメイソンのために最高の治療と終の棲家として施設での暮らしを与えることにしました。

そして、メイソンに豊かな時間を過ごしてもらいたいと願い、何とかメイソンの信頼を得ようと根気よく彼と向き合い続けました。

数か月後、全身にあった外傷が癒え、腎臓病の治療を始めてゆっくりと体重を増やし始めたメイソンは、少しずつスタッフとオモチャで遊ぶようになりました。
誰も受け入れようとしなかったメイスンは、ほんの少し施設での暮らしを楽しめるようになっていました。

しかし、スタッフ達はメイスンに幸せそうな表情を一度も見ることができませんでした。
スタッフの誰もがメイスンが満たされない理由を分かっていたのですが、その時はどうすることもできずにいたのです。

それは突然起こりました。

メイスンのいる成猫たちの暮らすエリアに、施設の他の場所で暮らす1歳未満の子猫たちが大人の猫と接する「体験」にやって来た時のことです。

メイソンはいつものように家具の下に置かれた専用のベッドに潜んでいました。
すると、スクラミーという子猫がもう1匹の子猫と一緒に迷わずメイソンのベッドに押し寄せて行きました。

戸惑うメイソンを尻目に、スクラミーがメイソンの耳を舐めはじめ、もう1匹がベッドのメイスンのお腹の下に潜り込んでいきました。
そしてスクラミーはベッドに入り込むと、メイソンの首に抱きついていったのです。

その時、メイソンがとろけました。
メイスンは、スタッフが待ち望んでいた表情を浮かべました。
その瞬間から、メイソンの人生が大きく変わったのです。

メイソンは世界中の何よりも子猫たちを愛していました。
メイソンはグランパ・メイソン(メイソンおじいちゃん)と呼ばれ、一日の殆どを子猫たちに囲まれて過ごすようになりました。

そして、社会化を必要とする子猫たちはグランパ・メイソンから、必要なマナーを学び溢れんばかりの愛情を注がれて過ごしました。
子猫たちはメイソンのおかげで新しい家族との出会いに恵まれ、次々に旅立って行ったのです。

2018年1月。
グランパ・メイソンがお世話した子猫たちがそれぞれに新しい家族のもとへまた旅立って行きました。

喜ばしいことなのですが、施設は次の子猫たちを見つけることができずにいました。
猫の繁殖期までには少し時間のある真冬に、グランパ・メイソンは次の子猫たちをいつものカウチで大人の猫と並んで座り、楽しみに待っている日々が続きました。

メイソンの腎臓病は今でも進行中です。
しかし、万全な健康管理と治療のもと、小食の彼はご飯以外にもカロリー補給のためにシリンジの食事を摂っていて、体重は3.9~4.0kgで安定しています。

しかし。
何よりも子猫たちとの時間を愛するメイソンに一時でも多く、充実した時間を過ごしてほしいと願う施設は、広告や求人情報を求める利用者の多いコミュニティサイトへの異例ともいえる投稿に踏み切りました。

そこには
『メイソンは腎臓病なので、比較的健康な生後4週の子猫を探しています。子猫たちは十分な医療と愛情、避妊と去勢を受けることができます。メイソンと過ごす子猫はその恩恵を十分に感じられます。』
メイソンのもとへやって来る子猫たちが見つかれば、施設をあげて支援すると綴られていました。

メイソンに腎臓病が見つかった2016年、獣医師はその冬を越せないと考えていました。
幸いなことに1年以上たった現在もメイソンは力強く生きています。
子猫たちとの時間が、メイソンに生きる喜びをもたらし大きなパワーを与えてきたのだとスタッフは感じています。

スタッフと遊び、撫でてもらうと喉を鳴らすようになったメイソン。
彼のために、施設は子猫を探し続けています。
メイソンは今日も子猫たちに囲まれて過ごすソファの上で新しい出会いを待っています。

参考資料:ウィキペディア【Craigslist】https://ja.wikipedia.org/wiki/Craigslist