初めてベルにあったとき、私に抱きついてきたベルに何か特別なものを感じてすぐに心を奪われてしまいました。

どうしても家に連れて帰りたくなり、家族に迎えることにしました。

我が家では3歳になるオス猫のジャジーと暮らしてきました。
ジャジーはベルを受け入れてくれ、とても気に入ったようでした。
でも、ベルは元気いっぱいのジャジーに気後れしたのか、あまり積極的に仲良くなろうとはませんでした。

順調に成長したベルを、避妊手術のために動物病院へ連れて行ったときのことです。

緊張していたベルをリラックスさせるために、獣医さんは手作りの小さな枕をベルに持たせてくれました。

無事に手術を終え、自宅に帰れるというのにベルは枕を離そうとしませんでした。
赤と白のストライプで石鹸くらいの枕をベルはとても気に入ったようで、獣医さんはそんなに気に入ったのならとプレゼントしてくれました。

獣医さんからもらった何の変哲もない小さな枕。
マタタビのようなものが入っている訳でもありませんでした。

でも、ベルはその枕を肌身離さずいつも持ち歩くようになったのです。
ひとつのものにそんなに執着するベルを、私たちは見たことがありませんでした。

ベルは家中のどこに行くにも枕を持ち運ぶようになりました。
枕を口に銜えて持ち歩いていました。
私たちは家の中のあらゆるところで、枕と遊ぶベルを見かけました。

あるときは枕をオモチャにしたり
あるときは足の間に挟んでいたり
あるときは枕を蹴っていたり
あるときは咬んでいたり
またある時は枕を枕にして寝ていたり・・・

ベルの枕への執着は、私たち家族に様々な憶測を呼びました。

ひとつだけ私にも分かることは、ベルが枕を咬んだ時の感触がとても気に入っているということ。

私の母は、枕の感触がベルに彼女のママを思い出させて気持ち良くさせていると信じていました。

いずれにせよ、獣医さんがプレゼントしてくれたあの日以来、ベルは心からのお気に入りを手に入れたのです。

ただ、ベルがすっかり成長した現在、小さな枕はよれよれになり、とっくに枕としての役割を果たしてはいません。
ベルの身体が大きくなり、枕はどんどん小さく見えるようになりました。

でもベルは未だに手放す様子はありません。
ベルにとって、小さな枕はなくてはならない宝物です。

我が家に来た時から、家族の注目を集め愛情を注がれてきたベルは、それでも心のどこかに欠けているなにかがありました。
獣医さんがくれた枕と出会い、ベルは何でも受け止めてくれる宝物で欠けていたなにかを埋められたのかもしれません。

あなたも持っていませんか?
幼い頃に出会って、どんなに歳を重ねてもどうしても捨てることができない宝物が・・・