子猫は生後2~3週の痩せた小さな子猫でまだ目が開いていませんでした。
アパートの階段には、ゴミ箱があり段ボール箱が転がっていて子猫はそこで寝ているようでした。
私は子猫を連れて帰りたかったのですが、あいにく私は5人の家族と暮らしていて、家の中へ迎えることができませんでした。
私は子猫にボッチーと名前を付け、ミルクを与えることにしました。

ボッチーは順調に大きくなり、私はごはんを与えるようになったのですがなぜか彼女の目はなかなか開きませんでした。
感染症にかかっていると思い、まぶたを開けてみると、
・・・中には何もありませんでした。
ボッチーは目を持たずに生まれていたのです。

ボッチーが完全に盲目であると知った私は、食事を与えるとき、ボッチーが食べ終わるまで傍にいることにしました。

あるとき、数日家を離れなければならなくなり、私が留守の間ボッチーが病気にでもならないかととても心配しました。

自宅に戻ったとき、私の心配が現実のものになってしまいました。
ボッチーが私たちの部屋の前で力なく横たわっていたのです。
ボッチーは骨と皮だけにやせ細り、私が家を離れる前に比べとても汚れていました。
私はボッチーを家に迎える決心をしました。

ボッチーの衰弱した姿はどんな言葉より説得力があると思いました。
私の決心を伝えると、私の家族は盲目の小さな子猫が生き延びるために私たちに何ができるかすぐに理解してくれました。

弱り切ったボッチーはしばらくの間、自分で食べることすらできませんでした。
私は時間ごとにボッチーの口へ食事を運び、排泄を助けました。
そして可能な限りボッチーの傍で一緒に過しました。
それはボッチーが自分でご飯を食べられるようになるまで続きました。

ボッチーが元気を取り戻したとき、彼女は自分の家を隅々まで嗅ぎまわり、彼女の持つ視力以外の能力を総動員して探検を始めました。
そして、アパートの周りも私の想像以上にたやすく動き回ることができ、そこにある何か所かの狭い空間にお気に入りのお昼寝スポットを見つけました。

ボッチーの状態が安定したので、私はボッチーを待望のお風呂に入れました。
ボッチーはそれが嬉しかったらしく、私の手にずっと体を擦りつけていました。

完全に元気を取り戻したボッチーにホッとした私は、あることに気付きました。
ボッチーは私が名前を呼んでも反応しませんでした。
それだけではなく、家族や私がブレンダーや掃除機を使うとほかの猫は跳んで逃げるのに、彼女は一切反応しません。
なのに、私がちょっと触れただけでもびっくりするのです。

まさかと思い、彼女の耳の傍で指を鳴らしてみると両方とも全く反応しなかったのです。
私は、彼女が聴力も持たなかったことにその時はじめて気づきました。

ボッチーは生まれたときから音のない何も見えない世界で生きていました。
そして彼女はその世界しか知らないのです。
ボッチーは足りない視覚と聴力を補うために、他の感覚を高め生きていました。

ボッチーは独特の方法で家の中を自由に歩き回り、もし周りに誰かを感じると遊び相手になってもらうことや撫でてもらうことを忘れませんでした。
そしてボッチーは自分の尻尾を追いかけてグルグル回る遊びがずっと大好きです。
ボッチーは、たとえ何も見えなくても何も聞こえなくても、彼女の人生に何ら問題がないことを教えてくれています。

ボッチーと出会って7か月が経ち、成長したボッチーは片手に乗っていたことがウソのように立派に成長しました。
そしていつも微笑んでいるような表情で私を見上げています。
私にとって軽やかに生きるボッチーはパーフェクトな猫です。