子猫は換気扇の排気口から怯えた目をして私を見ていました。
手を伸ばすと必死に威嚇して抵抗します。
お腹が空いているに違いないと思い、キッチンのスタッフに事情を話して鶏肉を分けてもらいました。
ついでに、子猫を引き寄せるためのスパチュラを借りました。

子猫の前に鶏肉を置いて約1時間。
子猫は寒さと飢えに、体力を使い果たしてしまったようです。
ようやく子猫がチキンを食べ始めたとき、スパチュラで引き寄せることができました。
私を怖がってあらゆる抵抗をしていた子猫でしたが、その時には私に抵抗する気力も残っていないようでした。
無抵抗になった子猫がなんだかかわいそうでした。

私は子猫をタオルで包み、段ボール箱に入れました。
自宅で猫を飼っている私は、子猫を連れて帰ることにしました。

自宅に着くと、子猫にご飯をあげました。
子猫の名前を考えていたのですが、捕まえたときの状況に因んでナゲットと呼ぶことにしました。

最初の数日、ナゲットはなかなか警戒心を解いてはくれず、私から身を隠していました。
ご飯を食べるにも私が傍にいると食べようとしません。
寝るときも物陰から出てこようとしなかったので、私のベッドの下にヒートパッドを置いてあげました。
ナゲットはその上で眠っていました。

なかなか信用してくれないナゲットに、私はちょっと寂しい思いをしました。
でも、焦らず彼女を待とうと思いました。

そんな数日が過ぎたある夜、寝る時間になったナゲットが私の傍にやってきました。
撫でてあげると喉を鳴らし始めました。
そしてその夜、ナゲットは私の手の中で眠りについたのです。
私は小さなナゲットの重みがとても愛おしく感じられました。

ナゲットの健康状態をチェックしてもらうために動物病院へ連れて行きました。

ナゲットは生後4週、その時の体重はちょうど1ポンド(約450g)でした。
大きな問題は見つからず、ノミと目の炎症の薬を処方してもらいました。

ナゲットはごはんがすすむようになり、その分確実に大きくなりました。
活発に動き回るようになった彼女は、家中の探検を何度も繰り返しました。

ナゲットが私より先に打ち解けていた2匹の猫は、小さな彼女を可愛がってくれます。
ナゲットは私が仕事に出かけている間も淋しさを感じる心配はありません。

私が家にいるとき、ナゲットはずっと傍にいるようになりました。
毎日、正午から3時の間は私の胸で昼寝をし、夜寝る前に私の手でタマ取をして遊ぶのが日課になりました。
ナゲットのもうひとつの楽しみは、窓際のキャットタワーの上でバードウォッチングをすることです。
目を大きく見開いて熱心に外を見ています。

あの夜、ナゲットを探しに外に出たのが私でよかったと思い、そもそも、居場所を知らせるためにナゲットが鳴いてくれて良かったと思い、とても苦労したけど私が捕まえられてよかったと思い、ナゲットが今ここに居ることを私は感謝しています。
ナゲットとの時間はまだ始まったばかりです。