廃車置き場に暮らす猫たちはいずれもきれいで体格もしっかりしていました。
猫たちの殆どが避妊や去勢を受けたしるしを耳に刻んでいました。
その中に、1匹だけ油にまみれ、痩せて体調の悪そうな子猫がいたのです。
ほかの猫に比べあまり食べられずにいるようです。
私たちはその子猫のことがとても気になり、保護してみようと思ったのです。

キャリーケースの代わりに、段ボール箱に大きな毛布を敷いたものを用意しました。
金網の傍にいた子猫をキャットフードで誘導し無事に保護することに成功しました。
子猫は全身が油で汚れていて、目に炎症を起こしていました。

自宅に連れて帰った子猫をお風呂に入れました。
2回目のお風呂の後、子猫は暗いグレーからフワフワの白い三毛猫に変わりました。
驚いたのは、耳の中に乾燥した油の汚れがついていたのです。
しかし幸いにも、ノミやダニは見つかりませんでした。

目の周りがきれいになった子猫は、光に対してとても敏感になっていました。
お風呂できれいになる前は、汚れと目ヤニでほとんど塞がった状態だったためよく見えていなかったようです。

子猫を乾かし、温めるためにセーターにくるんであげました。
それでも足りない気がして、夫は一晩中セーターごと子猫を抱いて温めていました。
しばらくすると、子猫の方から夫の腕にしがみつくようになり、気持ちよさそうに喉を鳴らし始めました。
夫も私も子猫がリラックスしてきたことにホッとしました。
私たちは子猫にルルと名前を付けました。

ルルを動物病院へ連れて行きました。
獣医師はルルを生後8週くらいだと言いました。
幸い大きな病気は見つからず、咳と目のための薬を処方してくれました。

私たちは25歳の愛猫を亡くして以来、猫を飼うことを止めていました。
ルルは、ひとりぼっちの上に、十分に食べることさえできずにやせ細り、油に汚れて暮らしていました。
私たちはルルには愛情を注ぎ、お世話をする家族が必要だと思い、彼女を私たちの家族に迎えることにしました。

ルルの目は2日もするとほぼ完全に見えるようになりました。
処方されたお薬の効果もあり、ルルはよく食べよく眠りました。
少しずつ元気を取り戻したルルは、活発に動き回るようになり、私たちの後を家中追うようになりました。

1週間後、ルルの目は完治し完全に開くようになりました。
ルルは私たちの前に現れると、クルクルした目で抱きしめてほしいとおねだりするように見詰めます。
私たちの腕が塞がっているとき、ルルはたたんだ洗濯物の上で柔らかい感触を楽しんでいます。

ルルは抱きしめられたときのぬくもりが大好きです。
私たちの前にひょっこり顔を出し、抱きしめられるのを待つルルは愛おしく、私たちを幸せにしてくれます。
ルルが家族に加わったことで、私たちは以前にもまして今を大事に暮らすようになりました。