ローズが掬い上げた子猫は、とても痩せていてほとんど息をしていませんでした。
彼女は迷わず子猫を連れて帰ることにしました。

最初の二晩、ローズはほとんど眠ることができませんでした。
子猫はずっとローズの腕にしがみついたまま眠っていたのです。
ローズは床に座り、猫用のベッドで眠る子猫に腕を貸し続けていました。

見つけたときの子猫はひとりぼっちでした。
衰弱して汚れた地面に倒れていたのです。
どんなに心細かったか・・・、子猫はローズの腕に母親のぬくもりを感じていたのかもしれません。
ローズはそんな子猫から腕を外すことができなかったのです。
彼女は子猫が少しずつ動き出すまで、ずっと子猫に抱き締められたままでいました。

懸命に看護するローズに応え、衰弱していた子猫は少しずつ元気を取り戻していきました。
一度は抜け落ちてしまった子猫の被毛は1~2週間で生えそろいました。
ローズと私は子猫をアンディと呼ぶようになり、アンディは相変わらずローズの腕が空くと抱きついて離れませんでした。

私とローズはパグ犬と暮らしてきました。
元気を取り戻したアンディにパグ犬を紹介したとき、アンディの反応は思わしくはありませんでした。
アンディは背中を膨らませ、必死に威嚇していました。
ところが5分も経つと、どういうわけかべったりと寄り添うようになりました。

アンディはローズの腕が忙しいときに、その代わりをしてくれるお姉ちゃんができました。
アンディとパグの関係は親友へと発展してその絆は成長するにつれてより深く強くなっていきました。
アンディはさみしいと感じることはなくなりました。

アンディはローズとの出会いで命を救われ、彼を抱きしめてくれる温かな腕の中で愛されていると感じています。
アンディにとって幸せなハッピーエンドストーリーです。

でも、ローズとアンディの出会いはもうひとつのハッピーエンドストーリーを生みました。
それこそ私が待ち望んでいたものでした。

成長したアンディはその後もローズの腕を卒業することはありませんでした。
そしてローズも彼に抱かれていないと眠ることができなくなってしまいました。

ローズは生後間もなく両親に捨てられた辛い過去にずっと苦しんできました。
彼女は心の中に決して埋めることのできない孤独を抱えて生きてきたのです。
それは彼女にしか分からない、深い孤独感でした。

ローズは同じような境遇のアンディに献身的な愛情を注ぎました。
そして、アンディはローズの腕を抱きしめることを止めませんでした。
私はローズの傍で彼女が次第に満たされていくのを感じていました。

ローズとアンディはお互いを救ったのです。

私たちがアンディと出会った場所は、奇しくもローズの出身地から8kmと離れていない場所でした。
そして、私とローズはガソリンスタンドに入る直前に子猫を飼う話をしていたのです。
私はアンディを見たとき、まるでローズのために用意された出会いのように思えました。

私はローズとアンディの間に深い結び付きを感じています。
私もまた彼らの出会いをきっかけにより満たされたひとりなのです。