女性は地元で猫のシェルターを運営する傍ら、5年に渡り通りで暮らす野良猫たちにごはんを提供し続けています。
彼女のもとへ集まる野良猫たちの中に、定期的に姿を現すドンスクと呼ばれる1匹の猫がいました。
ドンスクは他の野良猫たちと明らかに違い、女性はドンスクのことをとても心配してきました。

女性がキャットフードを紙のお皿に入れて野良猫たちの前に置いていくと、猫たちは次々に食べ始めます。
しかし、ドンスクは紙のお皿に入ったキャットフードの匂いを確かめるだけで決して食べようとはしなかったのです。

女性はドンスクの栄養状態を心配し、何とか食べてもらおうといろいろと試してみました。
キャットフードの種類を変えたり、ウェットフードを用意したり。
しかしドンスクはどれも食べようとしません。
『もしかしたら、容器が好みではないのかしら・・・』
女性はウェットフードを缶のまま置いたり、紙のお皿をプラスチックに変えてみましたが、それでも食べてはもらえませんでした。

まさかとは思いましたが、ビニール袋にドライフードを入れ、口を結んで置いてみました。
すると、ドンスクは素早く袋を銜えると大事そうに足早に去って行ったのです。

その後も、ほかの猫たちは口を閉じたビニール袋に背を向けるのに、ドンスクだけはビニール袋に入ったキャットフードだけを目的に現れ、大事そうに銜えてどこかへ運んでいきました。

ドンスクはどこへご飯を運んでいるのだろう・・・?

女性は確かめる必要があると思いました。

女性は仲のいいボランティアに協力してもらい、ドンスクに気付かれないよう遠巻きに追跡することにしました。

数分の距離にある古い建物の裏側へ登ったドンスクは、誰かを待っている様子でした。
すると。
ドンスクの鳴き声に反応して、ドンスクと同じ茶トラの子猫が姿を現したのです。
子猫はドンスクが置いた袋を咬みきりキャットフードを食べ始めました。
ドンスクは傍に座ったまま、満足そうに子猫を見守っていました。

女性とボランティアは涙をこらえることができなかったといいます。

女性はドンスクのことを近隣の住人に訪ねて回りました。

近所の方たちの話によると、ドンスクは数か月前、5匹の子猫を出産していました。
しかし、野良猫のドンスクにとって5匹の育児はとても厳しいものでした。
1匹、また1匹と子猫たちは次々に亡くなり、今では残った1匹を必死に育てているというのです。

女性たちは、ドンスクと子猫の力になりたいと思いました。

彼女たちはとりあえず、ドンスクと子猫のために温かいキルトを置いてあげました。
そして女性たちはドンスクや子猫が逃げてしまわないように細心の注意を払い、2匹の保護に乗り出したのです。

顔見知りであるドンスクは、女性たちの行動の真意を早いうちから理解してくれたのですが、子猫は人間に慣れておらず怯えていたため、さらに慎重に近付く必要がありました。
最終的に捕獲網を使った女性たちは、子猫を無事に保護することに成功したのです。

ドンスクと子猫は、女性が運営するシェルターで暮らしながら、時期を見て新しい家族を探すための準備が始められました。

ドンスクの行動に疑問を持ち、行動を起こした女性たちの誠実さがドンスクと子猫を明るい未来へと導いてくれました。
それにしても、頑なにご飯を食べなかったドンスクの母親としての強さと知恵には頭が下がる思いです。

温かく安全な場所で、ドンスクと子猫はちゃんとボールからごはんを食べています。