その日は風が強く、とても寒い日でした。
自宅近くのある地域を車で通りかかったときです。
小屋の外にじっと動かない猫がいました。
目を閉じ、全く動きません。
夫はきっと置物だと言いましたが、気になった私たちは確かめるために車を降りました。
すると、近付く私たちに気付いた猫が立ち上がったのです。

極寒の吹雪の中で寒さのために動けずにいた猫は、私たちに向かって鳴きながら歩き始めました。
大きな声で鳴いている猫は、私たちに助けを求めていました。

私も夫も生きている猫だということにとても驚き、その家の住人に断って猫を連れて帰ることにしました。
猫は、その家の主に外に出されていたのです。

私たちはすぐに動物病院へ向かいました。
温かい車の中で猫は何度も何度も鳴きました。

獣医師の診察を受けた猫は、生後1~1歳半。
ずいぶん長い間外に出されていたようで両耳にひどい凍傷を負っていました。
長毛の中の身体はとても痩せていました。

診察を終え、猫と一緒に自宅に向かいました。
温かい自宅の中で、一瞬戸惑った様子の猫でしたが、すぐに探検を始めました。
一通り見て回った猫に、私たちは毛布をかけてあげました。
猫は嬉しそうに喉を鳴らしました。

私たちは猫をポーターと呼ぶことにしました。
ポーターはほとんどご飯をもらうことができず、寒さの中でじっと耐えることしかできなかったようです。
でも、飢えや寒さに苦しむことはもうありません。
ポーターはやっと安心して眠ることができます

ポーターは家の中で一番温かい場所が一番お気に入りの場所になりました。
日当たりのいい窓辺にあるキャットタワーで過ごしていました。
体力を落としていた彼はしばらくの間、1日の殆どをキャットタワーの上で過ごし、ほとんど動くことはありませんでした。

数日後、少しずつ私たちとの暮らしに慣れ始めたポーターは食欲が出てきました。
おかげで体力を回復し、さらに数日後には体重が増え始めました。

私たちの家で1か月足らずを過ごしたポーターは、すっかり元気を取り戻しました。
そんなポーターに彼を家族に迎えたいという家族が現れ、4月のはじめ、彼を送り届けました。
新しい家族には小さな女の子がいて、ポーターが来るのを楽しみに待っていました。

寒さの中で生きることを諦めていたポーターは、今、温かい家の中で家族に囲まれて暮らしています。