マミとルーイ、ヘンリーの兄弟と母猫が保護されたのは冬の真っ只中でした。
発見されたとき、親子は互いに身を寄せ合って寒さを凌いでいたそうです。

地元のレスキュー隊に保護された親子の中で、スタッフたちに最も心配されていたのがマミでした。
兄弟や母猫が施設の暮らしに慣れていく一方、マミは人間に怯えたままいつも物陰に隠れて人間との接触を避けていたそうです。

友人を介して私と当時ボーイフレンドだった夫がマミと出会い、一目惚れしました。
子猫を飼う予定はありませんでしたが、どうしても連れて帰りたいと思ってしまったのです。

マミは恥ずかしがり屋な上に、とても悲しそうな目をしていました。
それは悲しいからではなく、彼女のもともとの表情なのですが・・・
私たちにはマミの悲し気なまなざしは何かを訴えているように見えました。
私たちは、人を恐れているマミには彼女に注がれる愛情が必要だと感じたのです。

マミを連れて自宅に帰ると、怯えていたマミはバスルームに飛び込み、トイレの後ろに隠れてしまいました。
興奮しているマミをそっとしておいた方がいいと思い、しばらくそのままで見守ることにしました。
マミはその後もバスルームのシンクに座り込んで、近付こうとする私を威嚇し続けました。

私はマミに話しかけ、何時間も一緒に過しました。
マミはそのまま数週間をバスルームで過ごしたのです。

ようやくバスルームから出てきたマミは人間との暮らしに戸惑い、とても神経質になっていました。
私がたてるちょっとした音にも反応して何度も威嚇してきました。

私の実家では猫を飼っていましたからそれなりのことは知っているつもりでした。
でも私は、野生の猫と信頼関係を結ぶ方法について学ぶために様々なことを調べました。
少しでもマミのことを理解したかったのです。

マミと暮らし始めて6か月が過ぎました。

私は自宅で仕事をしているのですが、マミは私がたてる音にも反応せず威嚇することはなくなり、リラックスして過ごすことができるようになりました。
マミは私と過ごしてきた時間から、人間との暮らしも悪くはないと感じたようです。

マミはようやく家猫としての暮らしを楽しめるようになりました。

私の傍で過ごすようになったマミは、ある日、勇気を奮い起こして彼女が欲しかったものに手を伸ばしました。
私がマミを抱くと、彼女は大きく喉を鳴らしたのです。
マミはずっと温かい腕に抱かれ、愛されているという実感が欲しかったのです。

それからのマミは誰が近付いても慌てることがなくなり、自分が欲しいものがあるときは一生懸命訴えるようになりました。
マミはとてもおしゃべりになりました。

しばらくして私たちはもう1匹の家族、マミより若いモルティーを迎えました。
モルティーはとてもエネルギッシュな男の子で、彼はマミの個性を開花させるのに大きく影響しました。
マミはモルティーが私たちの膝でお昼寝をするのを見て、マネをしたくなりました。

マミとモルティーはとても仲がよく、すぐに同じベッドで抱き合って眠るようになりました。
くっついて眠る2匹の姿は私たちを幸せな気持ちにさせてくれました。

3年経った今、マミはたくさんのお気に入りを見つけ、たくさんのおねだりをするようになりました。

部屋に入ってきたマミは、自分のお気に入りの場所に誰かがいると彼女のために場所を譲るようにワガママを言います。

彼女が満足する前に撫でるのを止めてしまうと、もっと撫でるように腕をポンポンと叩いてきます。

マミは少しくらいのわがままを言っても、私たちが彼女の要求に逆らえないことを知っています。
たしかに、初めて会った日から私も夫も彼女のまなざしには逆らうことができません。

マミの悲しそうな目は今も変わりません。
かつてのマミのまなざしは愛情を求める彼女の心を映していました。
今のマミはそのまなざしにたっぷりの愛情と自信を感じることができます。