子猫はひとりぼっちで鳴きながら走り回っていました。
どうしても放っておけなかったので捕まえようとしたのですが、あいにくすぐに日が沈んでしまい辺りは暗くなってしまいました。
私の気配に気付いた子猫は、停めてあった車の下に潜り込んでしまい、しばらくの間、私と子猫は路上で追いかけっこになりました。

やっとの思いで子猫を掬い上げ、手の中の子猫をよく見るとひどく汚れていました。
その瞬間、私は小猫に心を奪われてしまいました。

怯えて興奮している子猫を落ち着かせようと思い、自宅に連れて帰りました。

家の中に入ると子猫が再び鳴き始めました。
抱いている私の胸で部屋の中を見回して何かを探しているようでした。
私は子猫が母猫を探しているのだと思いました。

子猫を見つけたとき、辺りにほかの猫の姿は見当たりませんでした。
私は子猫を肩に乗せました。
子猫は私の肩につかまっていました。

私はひとりぼっちだった子猫に、ネモリノと名前を付け、ネモと呼ぶことにしました。
このとき以来、ネモは私の傍を離れなくなりました。

ネモは家中私の後を付いてまわり、抱きつくと離れようとしませんでした。
私が腰かけるとすぐに膝の上に上がってきて、昼寝を始めるようになりました。

ネモと暮らし始めて数か月が経ちました。

順調に成長したネモは、今でも私から離れようとしません。

私とネモはいい家族になれたと思います。

私はネモと出会うまでずっと犬を飼いたいと思ってきました。
でも、ネモと出会って以来、完全に猫派の人間に変わりました。

私を変えてしまったネモは、私が投げたおもちゃをとってくる遊びがお気に入りです。
まるで犬のようです。

私は30代に入りました。
以前の私は年を取ることに漠然とした不安を抱いていましたが、今は気にならなくなりました。
私の傍には信頼できる最高の友、ネモがいるからです。
一緒に年を重ねていくかけがえのない家族として。

暗闇の中で小さなネモを捕まえるのはとても大変でした。
あの時の私は、どうしても諦めたくありませんでした。

ネモが大事な家族になることを、あの時の私は知っていたのかもしれません。