リサさんが会社の駐車場を歩いていたとき、1匹の猫が駆け寄ってきて何かを伝えようと必死に合図を送り続けたそうです。
リサさんが猫の後を付いて行くと、建物の傍の排水溝中から子猫の鳴き声が聞こえていました。
排水溝が傾斜しているために、落ちた子猫は上がることができずにいました。

すぐに現場に駆け付けたスタッフが、2mほどの棒の先にウエットフードを浸したスカーフを結び排水溝の中に下していきました。
お腹を空かせた子猫が、匂いにつられて上ってくることを願ったのです。

一方、リサさんに子猫の窮状を知らせた母猫はすぐに保護され、キャリーケースの中にいました。

さらに、周囲を確認していたスタッフは、茂みの中に隠れていたもう1匹の子猫を発見することができ、子猫は母猫と一緒にキャリーケースの中に入れられました。
母猫と一緒の子猫は人間にとても怯えていていました。
スタッフたちは暗い排水溝の中でひとりぼっちになっている子猫のことを想い、一刻も早い救助が必要だと思いました。

しかし、排水溝に下した棒は翌朝まで子猫を引き寄せることができずその作戦は失敗に終わりました。
排水溝から聞こえる子猫の鳴き声が無事でいること伝えていましたが、スタッフたちは焦っていました。

そして、救助方法をいろいろと模索していたスタッフたちは、あるアイデアを思いつきました。

施設のボランティアスタッフのステイシーが、近くに見つけたマンホールに入り、汚れた水の中で子猫がいる排水溝につながっていると思われる黒いパイプを確認しました。
そのパイプは太さが25㎝ほどあり、スタッフはウエットフードをたっぷりと入れたトラップを仕掛けました。
トラップを置いたステイシーが上がってくると、スタッフは排水溝の子猫に必死に呼びかける母猫の動画を流し、母猫の声が子猫に届くようにと祈りました。
すると、子猫の鳴き声が次第に大きくなりトラップの方へ近付いているのが分かりました。

息を潜めて子猫の鳴き声に耳を傾けていたスタッフたちは、ついに最高の音を聞いたのです。
トラップが子猫を捉えて閉まる音でした。
ステイシーが再びマンホールに下り、子猫の入ったトラップを地上のスタッフに手渡します。
中には、驚いた様子の茶トラの子猫がちょこんと座っていました。
48時間暗く冷たい排水溝の中で怖い思いをした子猫は、無事温かく安全な場所へ帰ってくることができたのです。

子猫を早く安心させたかったスタッフたちは、急いで施設に戻りました。

リサさんは、排水溝にいた子猫にパイパーと名前を付けてくれました。
ステイシーたちに連れられ、施設にやって来たパイパーは先に保護された母猫のレインと妹のライリーに再会し、お互いの無事をとても喜んでいました。
安心したパイパーは、ウエットフードがいたく気に入ったようでお腹いっぱいになるまで食べていました。

我が子を救うために必死で訴えたレインは、幸運にも優しいリサさんを見つけることができました。
3匹の親子は施設の養育ボランティアの家で一緒にお世話をされています。
親子はもう、寒さや飢えに苦しむことはありません。
母猫レインの必死の想いが3匹を未来へと導いたのです。

保護されて10日ほど経った頃、パイパーは新しい家族のもとへ旅立って行きました。
レインとレイラにもきっと、温かい家族との出会いが待っていることでしょう。