ゲートの警備員の話によると、猫は鳴きながら警備小屋に現れ、助けを求めるように大きな声で鳴いてきたそうです。
お腹を空かせている様子の猫に、彼は持っていたチキンをごちそうしてあげたといいます。
猫はとても人に慣れていて、抱き上げると喉を鳴らしました。
私は猫の爪が最近手入れをしてもらっていることに気が付きました。

ピンクの首輪に手入れをされた爪、猫は間違いなく飼い猫です。
恐らく飼い主はいなくなった猫を探していると思いました。
私は、警備員に猫の飼い主を見つける手助けをすると話して、猫を預かりました。

猫を連れ、いったん自宅に戻った私は、ボールにたっぷりの水とキャットフードを用意して猫の前に置きました。
警備員にチキンをもらったと言っていた猫ですが、かわいそうに、よほどお腹がすいていたと見えあっという間に平らげてしまいました。
猫のお腹が落ち着いたことを見届け、私は仕事に戻りました。

私はすぐに猫の写真と情報をSNSに投稿して共有を求めました。
すると3時間後、いなくなった猫を探しているという家族からのコメントが届いたのです。
その家族が探している猫はティンカーといい、猫と同じピンクの首輪をしているといいます。
ティンカーは2週間前、突然姿を消してしまい家族は必死になって探していたのだそうです。

いくつかのやり取りの後、猫が間違いなくティンカーだと判明し、家族が迎えに来てくれることになりました。
驚いたことに、家族が住む場所は基地から南へ30kmも離れた所だったのです。

私はティンカーが後ろ足にケガをしていたことに気が付いていました。
彼女は途中で他の動物と争ったのかもしれません。
どうやって30kmの距離を移動してしまったのかはっきりとした理由は分かりませんが、ティンカーがこの基地に辿り着いてくれてよかったと思いました。

迎えに来た家族、私は娘さんにティンカーを渡しました。
家族は『ティンカーは誤って車に乗り込んでしまったのかもしれない』そう話していました。
『こうして再会できたのはほとんど奇跡だ』そう言ってとても喜んでくれました。

私は少し寂しくもありましたが、家族とティンカーの姿を見ているだけで幸せな気持ちになれました。

実は、私が猫に手助けをしたのはこれが初めてではありませんでした。
以前にも猫を保護したことのある私は、どうやら迷子の猫を助ける機会に恵まれているようです。