アリゾナ州フェニックスに住むリチャードさんは、その日交通量の多い高速道路で車を走らせていました。
ふと、中央分離帯のフェンスにしがみついている1匹の猫に気付きました。
すぐに停車して、近付いて行くと猫は対向車線側にいて必死にフェンスにしがみついて鳴いていました。
高速道路の緊急サービスと管理事務所に助けを求めたのですが、どちらもすぐには来てくれそうにありませんでした。

猫は怪我をして血を流しているようです。
何より怯えていて早く助けないととても危険な状況でした。
危険は十分承知していたリチャードさんでしたが、救助を待っている時間はないと考え、自分で助けることにしました。
対向車線まで車で移動し、少し離れた所に停車して猫にゆっくりと近付くと、猫は驚くと同時に少しホッとしたような表情をしたそうです。

猫を抱き上げると、後部座席の足元に猫を入れ、地元の動物保護施設 Arizona Humane Societyに向かいました。

私たちの施設に運び込まれた猫は、推定2歳のアメリカンカールでした。
猫からはマイクロチップは発見されず、リチャードさんは猫にフリーウェイと名前を付けてくれました。

医療チームに移された猫は早速検査を行い治療が開始されました。
フリーウェイは脱水症状が見られ、顎など2度の手術が必要でした。

私たちは、投薬を受けながら通院の必要なフリーウェイが安心して療養できるように、施設の里親をしている女性の自宅で彼のお世話をお願いすることにしました。
フリーウェイは痛みと戦いながらも約1か月の治療に耐え、食欲を増していました。
そして献身的な里親さんのお世話のおかげもあり、治療を担当した医師たちも満足のいく回復ぶりを見せてくれたのです。

すっかり回復したフリーウェイに新しい家族を探す準備を始めたとき、リチャードさんから連絡が入りました。
彼は施設に送り届けて以来、フリーウェイのことが気になって仕方がなかったようでした。
リチャードさんはフリーウェイを家族として引き取りたいと申し出てくれたのです。

4月の終わり、フリーウェイは元気な姿で、リチャードさんと一緒に新しい我が家に帰っていきました。

リチャードさんと暮らし始めたフリーウェイは、家族に愛情を注がれてとても楽しそうです。
リチャードさんは、元気に飛び回るフリーウェイに目を細め、何でも許してしまう甘いパパになっているようです。

高速道路でフリーウェイを救ったリチャードさんの行為は、彼自身にとってとても危険を伴うものでした。
しかしリチャードさんは、
『たしかにフリーウェイは血を流していましたが、生きていることはすぐに見て取れました。
たくさんの車が行き交っていたのに、なぜ誰も助けようとしないのだろう・・・』そう言ってとても残念そうでした。

『フリーウェイは私たち家族にとってかけがえのない存在になりました。
フリーウェイと出会った私は、あのときのほんの一瞬の勇気が一生続く幸せになりました。』

フリーウェイの回復に尽力した医療スタッフや里親さんは、幸せに暮らす彼の姿にとても喜んでいます。