どうです?
まるで絵に描いたような立派な口髭でしょう?
勿論メイクしているのではありませんよ。
ハミルトンンの口髭は、彼が生まれたときから彼の個性のひとつとして存在していました。
私が彼と出会ったのは5年前、生後1年足らずの頃でした。

私は普段彼をハミーと呼んでいます。

ハミーは野良猫のコロニーに妹といた所を動物保護施設Humane Society に保護されました。
ハミーに興味を持った私に、施設のボランティアスタッフは決して積極的に薦めようとはしませんでした。

ハミーは人間に怯え、近付こうとする人に「シャーッ!」と威嚇の声をあげ誰にも懐こうとしなかったそうです。
いつもケージの奥に身を潜めるように暮らしていたハミー。
確かに私が初めて会った時のハミーは、人懐こくて可愛らしい猫とは言えませんでした。

しかし私は、一目でハミーに心を奪われてしまい、家族に迎えることにしました。
不思議なことに、私が小さなハミーを両手で包んだとき、彼は数分で眠ってしまったのです。

しかし、スタッフの心配は現実のものとなりました。
自宅に着いたハミーは怯えきっていました。
私はハミーを落ち着かせるために彼をバスルームに連れて行き、しばらく様子を見ることにしました。
私はハミーとじっくり向き合う覚悟ができていました。

約1か月、バスルームで過ごしたハミーは、ある日の夜、突然鳴き始めました。
私がバスルームの扉を開けると、ハミーはそのままクローゼットに飛び込んでいきました。

3週間をクローゼットで過ごしたハミーは、次の居場所を探すために出てきたとき、家中を見て回りました。
そして、ようやく潜んでいる必要が無いことに気付いたのです。

ゆっくりと時間をかけ、私たちとの距離を縮めて行ったハミー。
家中を自由に動き回るようになったハミーは私の腕で眠るようになり人間との暮らしも悪くはないと感じたようでした。

無防備にお腹丸出しで眠るハミーの姿に、私たちはこの上ない幸せを感じることができました。
簡単ではありませんでしたが、私たちはお互いにかけがえのない家族になれたのです。

順調に成長したハミーは、生まれつきたくわえていた口髭もかなり立派なものになりました。
そしてそのスタイリッシュな口髭は私の発信するSNSで話題となり、たくさんの人から注目を集めるようになったのです。
その後音楽ビデオに出演したり、有名アーティストが彼のイラストを描いてくれたりとシェルターで暮らしていた彼からは想像もできない活躍をするようになりました。

私は、ハミーに支払われる報酬である活動を始めました。

私とハミーが出会った施設には今も次々に動物たちが保護され、新しい家族との出会いを待っています。
私とハミーが出会い、かけがえのない家族として暮らしているように、彼らにも出会いのチャンスがもっともっと増えてほしい・・・
保護施設の活動を支援し、譲渡会や保護施設への訪問を積極的に薦めるようになりました。

カメラの前でポージングを決めるハミーに、人間を恐れて暮らしていた施設での姿は想像できないかもしれません。
私と出会って愛される喜びを知ったハミーは、今、人生を楽しみ立派な口髭を蓄えた姿は輝いています。

自宅で過ごすハミーは以前と何ら変わったことはありません。
相変わらずお腹を見せて、私の傍らで寛いでいます。
私は、ハミーはごく普通の猫だと思っています。
スタイリッシュな髭はますます立派になってきましたが、私と過ごすハミーは今も遊びが大好きな甘えん坊の猫です。