施設に連れて来られた猫は骨と皮だけにやせ細り、体のあちこちの毛が抜け落ち、残った毛が絡み合って固いマットのように張り付いていました。
猫の衰弱が激しかったこともあり、医療チームに移してすぐに検査を受けてもらいました。

猫の年齢は15歳。
皮膚には疥癬(マダニの寄生による皮膚の感染症)の症状が見られ、すべての歯に治療が必要でした。
さらに甲状腺機能亢進症を患っていることが判明しますが、これは甲状腺機能低下症を放置したために引き起こされたものでした。

後日、猫が元の飼い主の家でお世話をされていなかった上、たった数日居なくなったことを幸いに飼い主の家を追い出されていたことが分かりました。

私たちは施設で必要な治療を提供することを決め、治療を始めていました。

オジーは、絡んでいた毛を剃り皮膚の治療を受け、甲状腺治療の投薬を受けるとすぐに体重を増やし始めていました。
体力が回復し始めたオジーはスタッフに甘え始めていました。

元の飼い主の裏切りにあい外をさまようしかなかったオジーが、人間への信頼を失っていなかったことを私たちは感謝しました。
そして、オジーに安心して過ごせる家を生涯提供することを決めたのです。

私たちの施設では高齢であったり病気を抱えた動物たちに生涯を過ごしてもらい、彼らが安心して暮らしていけるようにお世話をする活動をしてきました。
オジーはその中の1匹として加わることになったのです。
ここでは経験豊かなスタッフたちが、オジーやその仲間たちに必要なお世話をしているのです。

皮膚の疥癬の治療と歯科治療が進むと、オジーは苦痛から解放されより積極的に行動するようになりました。
施設で長い時間を過ごしてきた犬のニッキーとも遊ぶようになったオジーは、ようやく生活を楽しむことができるようになってきたようでした。

辛い治療が続いていたオジーですが、彼はいつもとても穏やかでスタッフに甘えていました。
甲状腺の手術を終えたオジーは、さらに体重を増やすことができ、体力を取り戻していきました。
元気になるにつれ、まるで少年のようにふるまうオジーに施設のスタッフには自然と笑みがこぼれていました。

計画された治療の大方を終えたオジーは、本来の彼の姿を取り戻していました。
年齢を感じさせない豊かな毛並みは美しく力強く輝いています。
一緒に暮らす施設の仲間たちと仲良く過ごすオジーからはさまよっていたころの痛々しい面影はみじんも感じられません。
心の傷と病を乗り越え、彼は永遠の自分の家に辿り着くことができました。
彼は今、穏やかな日々を過ごしています。