子猫は炎症で腫れあがった両目が完全に塞がり、視力を失った状態で保護されました。
自宅に連れ帰ったものの、怯えて威嚇する子猫。
しばらくは触ってあげることもできませんでした。

しかし、深夜になると甘えてきた子猫.
お風呂に入れてあげるとおとなしくなり、家族のベッドで一緒に眠りました。

翌日、お湯を含ませたガーゼで目を拭いてあげましたが、子猫は何も見ることができず動けません。
さらに鼻がつまっていて呼吸が苦しそうです。
ミルクやごはんに反応せず、家族はとても心配しました。
保護したのは土曜日の夜。動物病院はその日も休診日でした。

3日目、月曜日の朝。
濡れたガーゼのおかげで光を感じることができるようになり、少し動けるようになりました。
でも、食欲がないのは変わらず体力の低下を心配する家族。
仕方なく朝晩2回、スポイトでミルクを飲ませました。

月曜日。ようやく病院へ。
結膜炎を起こしていた子猫に抗生物質と軟膏が処方されました。
幸いなことに重篤なウィルスの感染もありませんでした。
子猫は生後約1か月、体重は400gでした。
この日の夜からウェットフードを食べ始めた子猫。
家族は少しほっとすることができました。

子猫は最初からトイレを上手に使えました。
そして、用を足すと『出たー!』家族に知らせます。

投薬を受けた子猫はしっかり食事を摂るようになりました
食欲を増す子猫に家族は安堵します。
塞がっていた目も少しですが開いてきました。
家族にまとわりついて活発に動き回るようになった子猫、それは回復の兆しでもあります。
『小猫らしさ』を感じられて喜ぶ家族でした。

かなり開いてきた子猫の目ですが、家族を見上げる目はまだまだ痛々しい限り・・・
でも元気が出てきた子猫はよく食べました。
そんな子猫に『なんでもいいから しっかり食べろ!』エールを送る家族。

子猫はベランダデビューを果たし、5日目の夜にはひとり遊びを始めました。

6日目。
子猫はまだベッドから一人では下りられませんでした。

『早く治って  美人さんになっておくれ・・・』
まだ炎症の引かない子猫の目に祈らずにはいられない家族。

でも、旺盛な食欲と、食後のきまりの毛繕い、それを済ませると元気に遊ぶ子猫は着実に成長し、回復していました。

いずれ里親さんを探す子猫にあえて名前を付けず『ネコ』と呼んでいた家族でしたが、この頃、それが『ニコ』に変化しました。

保護して9日目、鼻水が止まり、いよいよニコは絶好調。
『食欲は極めて旺盛』になりました。

好奇心旺盛なニコの姿は家族にとって何よりの癒しになっていたようです。

家族の足で遊ぶニコ。
家族とたま取をして遊ぶニコ。

少しずつ目の炎症が落ち着いて、彼女本来の顔が蘇りつつありました。

『このまま飼いたいけどうちでは無理…』にこのために早く家族を探さなければ…
10日目になると、かなり良くなっていましたが、『里親募集の写真はまだ撮れないかな…』

保護して2週間、ニコの目がようやく完治しました。
家族は元気になったにこを祝福します。

予想以上に美猫だったニコなら、里親さんもすぐに見つかるだろうと安堵する家族ですが、
『そろそろ里親を探さなければ…情がうつる・・・』

ニコの幸せだけを願う家族、・・・なんだか切ないです。

でも。
里親さんを探そうとしていた矢先、神様はニコにも家族にも粋な計らいを用意していました。

家族の学生時代の友人から久しぶりの電話がありました。
ひょんなことからニコが話題に上り、トントン拍子に話が決まったのです。

『いい里親が見つかるといいな・・・』
そう願っていた家族にとってこの上ない里親さんが見つかったのです。

11月20日、鎌倉に旅立って行ったニコ。
友人の家には12歳のアメショーが待っていました。

あっという間の1か月でしたが、ニコは多くのものを家族に残してくれました。
本当に治るのか不安でしょうがなかったけれど、ニコとふれあった人はみんな笑顔になりました。
家族はニコを通じて、子供たちに『ペットを飼うことの意味や責任、犬や猫の避妊の必要性をリアルに教えられた』と語ります。
『もしかしたら、こっちのほうが受け取るものは大きかったかもしれない』とも。

ニコの部屋には子供たち御手製の新聞紙のカーテンが揺れる専用のベッドがありました。
壁には子供たちへニコとふれあうときのお互いのための注意事項『必ず手を洗うこと』と書かれた大きな張り紙がありました。

『あの夜この子を見つけられて本当の良かった。』

全編に溢れる家族の愛情はどこまでも温かくて、何度も見返したくなりました。