街の人の話によると、野良猫は以前飼い猫だったようだと言います。
しかし、長い路上生活の間、周りの猫にいじめを受け、怯えて隠れるように暮らしていたそうです。
地元の動物保護団体Evenstar Charitable Organizationで活動する私は、野良猫の話を聞き、現場へ向かうことにしました。

私たちは野良猫を保護し、ブライアンと呼んでお世話を始めました。
ブライアンはシャム猫ですが、長い路上生活の間に毛は伸び放題、絡み合った毛がまるで固いマットのように彼の体を覆い尽くしていました。
私たちは皮膚の状態を確認するために毛を剃ることにしました。

ブライアンはとても穏やかな性格で、保護した私たちに摺り寄り助けられた感謝の気持ちを素直に表していました。
お風呂できれいになった体で、ブライアンはごはんに近付くとお腹いっぱいになるまで食べていました。
体重を増やすため、ブライアンには食べ放題のご飯を用意しました。
ブライアンはそれを喜んで食べ、少しずつ体重を増やしていきました。

その後順調に体重を増やし、剃った毛が少しずつ生えてきたブライアンは新しい家族を探す時期を迎えました。
私たちはブライアンがより多くのチャンスに恵まれるように、以前保護活動を共にしたアメリカ、ニュージャージー州の保護施設Happy Home Animal Rescueに連絡を取りました。

私たちの相談に快く応じてくれたアメリカの施設が、ブライアンの里親さんを探し始めてくれました。
渡米が決まったブライアンに、私たちは去勢手術を受けてもらい、ワクチン接種、マイクロチップの装着と準備を整えていきました。
そして、3月29日、ブライアンがいよいよ渡米の日を迎えたのです。

ケージから覗くブライアンの目は、少し不安そうでした。
ブライアンは、その魅力的なオレンジ色の目でじっと私を見詰めていました。
『大丈夫、アメリカにはあなたを温かく迎えてくれる人たちが待っているのよ。』

アメリカではブライアンを待つ施設のスタッフが空港で出迎えてくれました。
ブライアンは空港ではじめて施設のスタッフの姿を見たとき、すぐに自分移注目を求めるような様子を見せたそうです。

里親さんの自宅に向かう車の中で、ケージの中から覗くブライアンのオレンジ色の目は、期待と不安で緊張しているようです。
でも、里親さんに抱かれた彼は、顔をうずめ安らいでいるのがよく分かります。
こうしてブライアンは遠いアメリカで、新しい生活を始めることができました。

ブライアンは里親さんとの暮らしにすぐに馴染み、抱きつくとなかなか離れようとしないそうです。

路上で過酷な生活をしていたブライアンは、彼の窮状に気付いた街の人々の思いやりをきっかけに、大きなチャンスを掴むことができました。
私たちはブライアンのような幸運な猫がもっと増えるように、思いやりをもってすぐに行動に移すことを忘れずにいたい、そう思って活動を続けています。