あれからちょうど1年が過ぎようとしていた2012年夏のはじめ。
順調に成長した4匹の子猫に手がかからなくなり、サディは私の自宅の一角で、自由に暮らしていました。
サディは外の暮らしを好んでいたのですが、あるとき、いつものように朝出かけたきり3日間帰ってきませんでした。

心配した私がサディを探していると、偶然、深い茂みの中で倒れている彼女を発見しました。
獣医の診察を受けた彼女は、肝不全を患い、腹部に穿刺傷が見つかりました。
入院したサディは食べることも飲むことも拒否していました。
私は獣医師に毎日サディに会いに来るように勧められ、病院へ通いました。
しかし、それでもサディは食事に手を付けることはありませんでした。

サディの容体は、治療をすれば治るもので諦めるようなものではありませんでした。
なぜ食べようとしないのか、私はサディの前でじっと考え込んでしまいました。
サディがいた入院用の部屋は、スチール製のケージが並ぶ寒々とした雰囲気で、近くには大きな犬が吠えていました。
私はハッとしました。

おそらくサディは入院させられたことを、私に見捨てられたと勘違いしていたのです。
サディが食べようとしなかったのは、勘違いのせいで諦めてしまっていたのだとようやく気付きました。
私は勘違いでも傷ついたサディに気付いてあげられなかった自分をとても残念に思いました。

私は早速、サディが自宅でお気に入りだったサテンの枕を病院へ持って行きました。
すると、サディは枕を見るなり立ち上がったのです。

私は、サディに食べるように励まし続けました。
誤解だと気づいたのか、サディはゆっくりと自分から食べるようになりました。
約3週間の入院の間に、サディは3回経静脈から栄養剤の点滴を受け、投薬も我慢してくれました

すっかり健康を取り戻したサディは、退院して自宅に戻ると以前に比べて外出する時間が格段に減りました。
サディは、毎朝1~2時間を外に出かけ、戻って来ると私の傍であらゆる種類の動画を熱心に観て過ごすようになったのです。

彼女は私と同じ好みで、オールディーズの音楽を好んでいました。
特にお気に入りがボビー・ヴィーで座り込んで聞き入っていました。
猫用の小鳥のビデオ、動物、魚に至るまで、ありとあらゆるビデオを食い入るように見ていました。

私は偶然、2度彼女を助けることになりました。
身を削って子猫を育てていた彼女を支えたいと思った私にとって、サディはやはり特別な猫だったようです。
動画を愛するサディは、自宅で仕事をする私に寄り添っています。
そろそろキーボードの上を歩くのだけはやめてほしいと思う、今日この頃です。