子猫たちは生後約2週間、やせ細った身体はノミと汚れで覆われていました。
衰弱がひどく、私たちが掬い上げたときもあまり反応しませんでした。
掬い上げたものの私たち家族は全員、果たして子猫たちの命を救えるのか、不安の方が大きかったかもしれません。

特にグレイの子は、目に炎症を起こしているのか、まぶたが目に張り付いているように見えました。
家族は助かる見込みのありそうなもう1匹の子猫を連れて帰ると言い、私にグレイの子は諦めた方がいいと言いました。
衰弱とひどい状況の中、それでも子猫から必死に生き延びようとする意志のようなものを感じていてた私は、どうしても諦める気にはなれませんでした。
『いや、連れて帰るよ』私は自宅に急ぎました。

私は子猫を温かいお風呂に入れ、汚れを落とし、ノミを完全に取り除きました。
子猫をタオルと毛布にくるみ、ミルクを与えました。
ガールフレンドのロニと一緒に動物病院へ連れて行くと、思った以上に悪いことが分かりました。
子猫は猫インフルエンザに感染していて、獣医師は夜を超すのは難しいだろうと言いました。
さらにもし生き延びたとしても目の炎症がかなり進んでいるため、昼夜を問わず目の周りを清潔に保ち軟膏を塗らなければならないため、看病はかなり大変になると言いました。
それを聞いた私とロニは、それで子猫が助かるのなら挑戦する価値があると言って、処方してもらった薬をもらい病院を後にしました。

それから、私とロニの戦いが始まりました。
3時間ごとに目の周りをきれいに拭き、指示通りに軟膏を塗り、毛布を取り換えて湯たんぽのお湯を入れ替え温め続けました。
ロニは、2か月間毎日子猫のためにこの作業を休むことなく続けてくれました。
今思えば、私たちは生後間もない子猫を育てた経験もなく、ただがむしゃらに最善を尽くすことに必死になっていました。

いつの間にか、私とロニは子猫をユリと呼ぶようになっていました。
ユリはまるで私とロニが懐いていた「必ず助けてみせる」という想いを知っているかのようでした。
ユリは小さな体で必死に戦い、治療の苦しさに耐えてくれていました。

ユリの看病をはじめて2か月が経ち、ユリは最終的に左の目を失ってしまいました。
幸い、右目は徐々に回復することができたのですが、左目は回復することができなかったのです。
ユリの成長を待ち、左目の眼窩を固定する手術を受けることになりました。

すっかり健康を取り戻したユリは、順調な成長を見せ、小柄でも凛とした青年になって私の家族を驚かせました。

私とロニは以前から2匹の犬と2匹の猫を飼ってきました。
健康を取り戻したユリは、4匹の大きな兄弟にもすぐに打ち解け、末っ子として可愛がられる存在になりました。
彼等のお昼寝はいつもお気に入りのソファで5匹がかたまりになって寝ています。

ユリが家族になって半年、目の手術も無事に乗り越えますますたくましく成長を続けています。
医師でさえ諦めかけた子猫は、好奇心旺盛な物おじしないハンサムな猫に成長しています。
ユリの看病はロニの力によるところが大きく、私は彼女との絆を深めることができたような気がします。
ユリが加わったことで、私たち家族はまたひとつ成長できたかもしれません。