私はStray Cat Allianceで猫たちの送り迎えをするボランティアの活動をしてきました。
治療の必要な猫を預かって予約した動物病院へ行ったり、里親さんや新しい家族のもとへ猫たちを送り届けるのが私の役割です。
その日はチャンピオンという猫を皮膚科医へ連れて行くことになっていました。

チャンピオンはロサンゼルスの南部にある20匹ほどの猫が住むコロニーで保護された猫でした。
施設のスタッフの話によると、保護されたチャンピオンはとても人に慣れていたことから、恐らくその場所に捨てられてしまったようだといいます。
保護したスタッフはチャンピオンを取り逃がすことはないと思ったそうです。
施設にやって来たチャンピオンは、推定10歳、お腹を空かせて皮膚病に苦しんでいたそうです。

ケージに入ったチャンピオンを施設で預かり、私は皮膚科医のもとへ車で向かいました。
車を出すと助手席に乗せたケージからチャンピオンが顔を覗かせました。
その顔を見た私はハッとしました。
ピンクの鼻に透き通ったブルーの目。私はどうしても確かめたくなって車を停めました。
ケージを開けてチャンピオンを見ると、メインクーンタイプのモフモフの毛並みをもっていました。

実はその日の朝、私は15年間一緒に暮らしてきた愛猫を亡くしたばかりでした。
心にぽっかりと大きな穴が開いたような喪失感の中、私は今度猫を飼うときが来たら、亡くした愛猫にそっくりな猫を探すと決めていました。

チャンピオンは私が探そうとしていた猫そのものでした。
いつか探そうと思っていた猫が、私の目の前にもう現れたのです。
私が撫でるとチャンピオンはキラキラした目で私を見上げ、喉を鳴らしました。

病院について診察台に上がったチャンピオンは、付き添う私の顔に顔を擦りつけてずっと喉を鳴らしていました。
私は、心に空いていた穴がスーッと消えていくような感覚を覚えました。

診察していた獣医さんは、私にこう聞いたのです。
『この猫はあなたの猫ですか?』
『・・・いいえ。』私はそう答えました。

私はチャンピオンを引き取り、数日後、施設に迎えに行きました。
チャンピオンは新しくセルジオと名前を変え、私の家で暮らすようになりました。

獣医さんはセルジオが約8歳だと言っていました。
決して若くはないセルジオですが、キラキラしたブルーの目は少年のようです。
セルジオを迎えたのは12月24日、クリスマスイブでした。
亡くなった愛猫は私のことを想って、旅立ったその日にセルジオとの出会いを導いてくれたのかもしれません。
私は、愛猫に見守られたセルジオとの生活に深い喜びを感じています。