慎重に子猫を掬い上げ、後部座席に入れると前の座席の下に潜り込んでしまいました。
とても怯えています。
交通量が多くその場にとどまるのは危険だったので、仕方なくルームメートが車を発進させてそのまま自宅へ急ぎました。

汚れてノミが付着していた子猫を、とりあえずお風呂に入れました
ご飯をあげると、お腹が空いていたようでものすごい勢いで食べました。
お腹がいっぱいになった子猫は、眠くなって私のパーカーにくるまって眠ってしまいました。
私は仕事に行かなければなりませんでした。
子猫を置いて行くわけにはいかないので掬い上げようとすると、子猫はパーカーから手を放しません。
私はパーカーごと子猫を抱いて仕事へ向かいました。

私のデスクの上にパーカーごと子猫を乗せました。
子猫はキョロキョロしていましたが、安心したのか仕方なくか、すぐにおとなしくなりました。
子猫は目の周りが荒れていました。『これが終わったら、お医者さんに診てもらおうな。』

この日、環境がくるくる変わり、初めての経験だらけだった子猫は心身ともに疲れ切ってしまったようです。
すぐに眠ってしまいました。ときどき頭を撫でるとそのたびに喉を鳴らしました。
私は思いついて、子猫をスキッドマークと呼ぶことにしました。
スキッドマークは私が仕事をしている間、ほとんど眠っていました。
ずっと眠ってくれたおかげで私は仕事をはかどらせることができました。

仕事を終え、動物病院へ連れて行き診察を受けると、幸いなことにスキッドマークは健康だと言われました。
目の周りの荒れは、こびりついた食べ物と他の子猫との格闘の際に付いた傷だと言います。
獣医師とワクチンや予防接種の約束をし、自宅に帰りました。
自宅に戻った私は子猫を2度目のお風呂に入れ、今度は丁寧にノミを取り、顔もキレイにしました。

スキッドマークは私のそばから離れようとしなくなりました。
はじめは私のパーカーを気に入って、つかんだら放そうとしませんでしたが、移動するときは私の肩の上に乗ると決めていました。
自宅でくつろぐときは私の腕や手の辺りに絡みついていました。
仕事に出かけるとき、自宅に残していくのが心配だった私は、数週間の間スキッドマークを職場に連れて行きました。
デスクの上で過ごす彼は、私がときどき撫でるだけでずっとおとなしくしていました。

はじめの数日1食でウェットフード1缶を平らげてしまっていたスキッドマークでしたが、落ち着き始めた食欲に、私は1日1缶を2回に分けて与えることにしました。食べ過ぎはよくありません。
スキッドマークは、缶を開ける音だけで食事の時間だと分かるようで、家のどこにいても飛んできました。

昼寝が大好きなスキッドマークですが、彼は活発です。
私はスキッドマークの写真をたくさん撮ってきましたが、自宅で撮るより自宅以外で撮影する方が楽なくらい家の中では駆け回っています。
彼は初めて会ったときの約3倍に成長し私の帰りを自宅で待ってくれるようになりました。
スキッドマークがウェットフードからドライフードに移行した頃、私は彼を家に残して仕事に出かけるようになりました。
スキッドマークがそれを許してくれたのは、私に張り付いていなくとも2度とひとりぼっちになることがないと分かったからだと思います。