ロンは生後5か月のときに野良猫たちのコロニーで他の3匹の子猫たち、ハリー、ルナ、ハーマイオニーと一緒に保護され、私たちの病院へ連れて来られました。病院の生活に慣れたロンは、患者たちや周りの動物たちともふれあいを楽しめるようになっていました。そんな時、私たちはロンの特別な能力を目の当たりにしたのです。

ある日、私たちの病院へ9kgはあろうかというたくましい体をした野良猫が連れて来られました。野良猫はとても攻撃的だったために獣医師たちは誰も近付くことができませんでした。するとロンが駆け付け、野良猫の入っている大きなケージの柵を上り始めたのです。野良猫はすぐにロンと遊び始め、喉を鳴らし始めました。その間、わずか数分ほどの出来事でした。その後、猫は近付いた獣医師に触れることを許したのです。

ロンがいるところには、自然と動物たちが集まってきました。あるときから、ロンは歯科手術のために麻酔で眠る動物たちに寄り添うようになりました。ロンはベッドの動物を抱きしめ、彼の温かさで動物たちの痛みに寄り添っているようでした。

ロンが寄り添うと不安を抱えてベッドの横たわる動物たちは、安心した様子を見せました。患者の動物たちはロンの存在に助けられていました。ロンの癒しは患者の飼い主さんからたちからも厚い信頼を得るようになっていました。いつからかロンは、セラピーキャットとして活躍するようになりました。

麻酔で眠る動物たちに、飼い主の了解をえたロンは熱心に毛繕いをします。患者が眠っている間にロンは彼らをきれいにし、患者たちはロンの気配に安心することができました。

病院を訪れる患者たちや、保護された動物たちにとってロンの存在はかけがえのないものになりました。ロンと動物たちの仲睦まじい姿を目にする私たちスタッフには自然と笑顔が増えました。
ロンが病院に来て3か月が経とうとしていた今年2月、セラピーキャットとして活躍していたロンに、彼を引き取りたいという家族が現れました。

病院のスタッフのFacebookにロンの記事が掲載され、それを見た家族が彼をぜひ家族に迎えたいと申し出てくれたのです。ロンとの別れは私たちにとってとても淋しいものでした。でも、ロンの新しい家族には小さな男の子と、子犬、それにおじいちゃんの犬がいました。ロンはきっと賑やかで楽しい暮らしができると思いました。
たくさんの動物たちを癒してくれたロンは今、家族に囲まれて幸せな毎日を送っています。