子猫は生後5週、体重は900gほどしかなく、左後ろ足を失っていました。シェルターから連絡を受けた私たちは、すぐに子猫を迎えに行き、施設の保育部門でお世話をすることにしました。子猫の足は先天的になかったものではなく、負傷による欠損でした。傷は殆ど治癒に向かっていましたが、自然治癒だったため感染症を起こしており、早速医療チームが治療を始めました。

クリントンの足は、感染症のために腫れていました。さらに患部周辺は皮膚が薄いため、完治を遅らせる原因ともなっていました。医療チームは子猫の将来を考え、最も適切な方法として切断を選択しました。しかし、手術をするには子猫の成長を待つ必要があり、抗生物質の投与と安静が必要だったためサマンサの自宅に移すことになりました。

サマンサはこれまで数えきれない数の子猫をお世話してきた熟練の養育者です。その彼女が、しゃがれた声で元気に鳴いている子猫に『これまで見た中でもっともキュートな子猫』と目を細めていました。サマンサは子猫をクィントンと呼ぶことにしました。

サマンサの家には彼女の家族として暮らす猫3匹がいました。猫たちに囲まれたクィントンは、失くした足を気にせず、ほかの猫にひけを取らない動きで、遊んでもらうのが嬉しくてたまらないようでした。彼は、安全でお腹を空かせる心配のない快適な場所でにいることを喜んで、たくさんのふみふみをしていたそうです。

サマンサの自宅で過ごすクィントンは、ストレスが少なくそれは治療をスムーズに進めてくれます。4月のはじめ、手術に耐えられる体力を付けたクィントンはいよいよ手術に臨みました。麻酔から覚めたクィントンのそばには、サマンサがいました。クィントンはこれまで通り、外見に似合わないしゃがれた声でサマンサに『帰って来たよ!』そう挨拶しました。

幸い術後の経過は順調でした。クィントンは永遠の家を探す時期を迎えました。サマンサが提供するクィントンの最新情報を見ていたシャーリーさんがクィントンを引き取りたいと申し出てくれました。クィントンは健康を取り戻し、新しい家族のもとへ旅立って行きました。

シャーリーさんの家で暮らし始めたクィントンは、足の経過も順調ですっかり自分のペースを取り戻していました。シャーリーさんは、クィントンが3本足だということを忘れさせるほど自由でのびのびとしていることを喜び、驚いていました。彼女はクィントンを頭文字の一文字を取って「Q」と呼んでいました。

『Qは、窓の外の鳥を眺めているのが大好きです。彼がキャットタワーを軽々とのぼり、一番上に上がったときは本当に驚きました。Qはキャットタワーの一番上で、鳥の動きに反応して声をあげながら一日中でもバードウォッチングを楽しんでいます。』
街の通りでひとりぼっちだった子猫は、たくさんの人に愛情を注がれ、彼らしく輝ける永遠の我が家と愛する家族に巡り会うことができました。
Qは今日も、おじいちゃんのような声で鳥とおしゃべりを楽しんでいます。