子猫は生後2週間、まだまだ母猫のお世話が必要な時期なのに、恐らく置き去りにされてしまったのでしょう。私たちは衰弱した子猫を何とか助けたいと思い、時間ごとにミルクを与えお世話を始めました。しかし、ひとりぼっちにされた子猫は、深く傷ついてしまったのか無気力でミルクを飲もうとはしませんでした。

最初の夜、子猫は生きようとする意志を失ったように何も口にせず、容体は悪くなる一方でした。子猫に必要なのは愛情・・・私たちは祈るような気持で一緒に暮らしているハスキー犬3匹の中のリロに子猫を託してみることにしました。
するとリロは子猫を受け入れ、すぐに子猫のお世話を始めたのです。温かく大きなリロに抱かれ、子猫はすがるように抱きついていました。リロはこの夜、小猫のママになることを決心したのです。

子猫はリロから一時でも離れようとしなくなり、リロもまた子猫にいつも寄り添おうとしました。リロのお世話は忍耐強いもので、何も知らない子猫にリロは躾のような行為を見せて私たちを驚かせました。
リロに愛情を注がれる子猫は、生きる希望を取り戻したのか、ミルクを飲むようになりました。衰弱が著しかった子猫はその後も通院を続けましたが、リロに支えられて治療に耐え確実に回復を続けました。私たちは小猫をロージーと呼ぶことにしました。

私たちはロージーを保護した当初、彼女が健康を取り戻し飼い主を探せる時期が来たら里親さんを探すつもりでいました。でも、リロとロージーに深い絆が結ばれたことで、2匹を引き離すことができなくなってしまいました。私たちは正式にロージーを家族に迎えることに決めました。
ロージーが3ヶ月を迎えようとしていたころ、私たちは彼女をハスキーたちの散歩に一緒に連れて行くようになりました。ロージーは最初、私たちのバッグの中に入って参加していました。

私たちはリードを使うようになったロージーを、どうしても連れて行きたいところがありました。私たち姉妹はアウトドアが大好きで、日常の散歩は勿論、ハイキングやトレッキング、海でのカヤックを楽しんできました。旅を楽しむ私たちのそばには我が家のハスキーたちがいつも一緒、彼らも一緒に楽しんできたのです。私たちのイベントにロージーが参加するためには、彼女の健康と体力、そして協調性が必要でした。そのすべてをクリアできたのはほとんどリロのおかげだったと言えます。

私たちは季節を問わず、仕事の合間を見つけては行きたいところへ出かけました。病弱だったロージーがゴツゴツした岩を駆け上がり、深い雪山に登る日が来るとは思いもしませんでした。でも、ロージーはリロの後に付いて行きたい一心ではじめての経験に果敢に挑戦し、ハスキーたちと自然を満喫していました。さらに彼女は、カヤックに乗るために泳ぐこともマスターしました。プールでトレーニングできたのもリロのマネをしようとしたおかげでした。
リロに育てられたロージーは、自分も一部ハスキーだと思っている節があります。彼女は時々、犬のように舌を出してハァハァと呼吸をするのですが、あれはロージーのマネをしているのだと思います。

成長したロージーは、立派でたくましいおとなになりました。でも、今でもリロを頼りにしています。カヤックに乗るとき、ロージーは必ずリロと同じカヤックに乗ります。でも、それはロージーのためだけではありません。大好きなカヤックの上で、ときに興奮するリロを冷静な状態に戻しているのはロージーなのです。彼女たちはお互いに補い合う関係に成長しています。

私たち姉妹は、猫の繁殖期に子猫の保護活動をしています。保護した子猫たちのお世話をし、時期を迎えると子猫の引き取り手を探す活動です。子猫のお世話は家族総出です。リロを筆頭にハスキーたちも、そして、成長したロージーも参加するようになりました。
ロージーに子育ての経験はありません。でも、自分に注がれたリロの愛情を覚えているロージーは、ある日、突然私たちに参加し始めたのです。ロージーはリロの教えを見事にを引き継ぎ、子猫たちに温かいママのぬくもりを提供してくれています。
孤独だった子猫のロージーは、リロと出会いその人生を大きく変えました。ロージーは今、愛情を注ぐ側になり、リロと一緒に子猫たちの未来を切り拓くお手伝いをしています。