猫は放棄された納屋からほかの60匹の野良猫たちと一緒に保護されました。保護されたとき、猫は全身が傷だらけでした。獣医師の診断の結果、しっぽのケガ、複数の感染症、手術の必要な歯が見つかり、そして末期の進行性腎疾患でこの冬を越すのは難しいと診断されたのです。

彼は常に痛みを抱えて生きていました。彼に残された時間はあまりないかもしれませんが、私たちは、彼のための温かい家で、痛みから解放され、愛情を注がれて過ごしてもらうべきだと結論しました。
施設での生活が始まっても、彼は決して人間を受け入れようとしませんでした。でも、私たちスタッフも彼を諦めることはありませんでした。

私たちは猫をグランパ・メイソン(メイソンおじいちゃん)と呼び、数か月をかけてメイソンの信頼を得るために彼と根気強く向き合いました。そして、メイソンが私たちとオモチャで遊ぶようになった頃、思わぬ出来事が起こりました。

私たちの施設へ、引き取り手を探すためのトレーニングをする保育施設の子猫たちが来た時のことです。誰とも交わろうとしないメイソンは、テーブルの下の彼のベッドに潜んでいました。メイソンの反応が気になった私たちは彼の右側でかたずをのんで見守っていました。すると、子猫のスクラミーがメイソンのところへやってきて耳を舐めはじめ、他の子猫が彼のベッドに潜り込んできました。その瞬間、あのメイソンが溶け、見守っていた私たちはもっと溶けてしまいました。

メイソンに欠けていたのはほかの生物との接触でしたが、それは私たち人間ではなく、明らかに猫だったのです。子猫たちの無邪気な行為が、頑なだったメイソンを一瞬にしてとろけさせてしまいました。このときからメイソンの人生は変わりました。

子猫たちは、メイソンと一緒に過ごすために通うようになり、グランパ・メイソンは子猫たちと家中を駆け回ります。子猫たちと過ごしているメイゾンは、まるで大きな子猫に戻ったようです。そして彼は子猫たちを目に入れても痛くないほどかわいがっています。
メイソンの病気は今も進行中で、彼にどれだけの時間が残されているのかは分かりません。しかし、子猫が訪れるたびにグランパ・メイソンは目を輝かせてその時間を楽しんでいます。子猫たちに囲まれたメイソンは今、私たちの想像を遥かに越えた愛情に溢れた暮らしをしています。