スナネコはサハラから中東、トルキスタンの砂漠地帯に分布するネコ科ネコ属の食肉種で、横の広い頭部に先の尖った大きな三角形の耳を持ち、高温の砂から足を守るために肉球も被毛で覆われています。ローテムは1年前、この施設で一緒に暮らしていた、セーラを亡くしてしまいひとりぼっちになってしまいました。

私たちは、ローテムの将来に危機感を覚え、2014年9月にウェーデンからオスのカラハリを譲り受け、ローテムのパートナーとして迎えました。ところが、ローテムはカラハリに一切興味を示さなかったのです。2匹は殆どの時間をお互いに避けて過ごしていました。

私たちはこの状況をとても心配していました。カラハリを迎えて以来、2匹の間には何も起こりませんでした。希少なスナネコにとってこの状況は危機的なものです。ローテムもカラハリも永遠に生きるわけではありません。私たちの心配をよそに、2匹は敵対するわけでもなく、無視するわけでもありません。しかし仲良くすることもありませんでした。

私たちの目にはローテムとカラハリは、とてもプラトニックな関係に見えました。若い2匹は、スナネコの中ではかなりレアなケースだといえます。通常、お互いに悪影響を及ぼす可能性があるため、スナネコのカップルを夜間同じ部屋にするとはしません。しかし私たちは、ローテムとカラハリに夜間、あえて同じ部屋で過ごしてもらうことを決めました。

そして、カラハリを迎えて10か月を過ぎた7月の終わり、シフト交代で入ったスタッフがローテムを探していたとき、信じられないものを発見したのです。なんと、ローテムが3匹の子猫を出産していたのです。

スナネコの妊娠期間は59~63日。しかし、スタッフの中に誰ひとり、ローテムとカラハリの交配の気配を感じるものなどいなかったのです。ローテムと子猫の姿を見たとき、私たちスタッフはにわかに信じることができないほど驚きました。ローテムはかいがいしく子猫の世話をするとても良い母親になって見つけられました。

私たちはローテムとカラハリのおかげで、大きな落胆の後に最高の喜びを味わうことができました。ローテムは子育てに没頭し、母親に愛情を注がれる子猫たちはすくすくと順調に成長しています。子猫たちが元気にたわむれる姿を見ている私たちは、ローテム親子の明るい未来を期待し、彼らを生涯支え続けようと改めて誓ったのです。