発見した子猫は生後6~8週、上気道感染症のために目にも炎症があり閉じられています。衰弱した子猫は動くこともできずに怯えていました。子猫のそばを混雑した車の列が続いています。『大丈夫よ、子猫ちゃん』私は小猫に声をかけながら抱き上げ、毛布にくるんでキャリーケースにそっと入れました。

交通量の多い6車線の道路、その防護壁の途中にいた子猫はなぜそんな所にいたのでしょう。そしてなぜ、誰も子猫を助けようとしなかったのでしょう。私には理解できませんでした。キャリーケースの中で、安全な場所にいることが分かったのか子猫は少しホッとしたようでした。

デーブを乗せた車でシェルターへ向かい、もう1匹の猫ミアを引き取りました。そのまま私は動物病院へ向かいました。ミアは交通事故に会い、骨盤を骨折し重症でした。さらに診察の結果貧血、尿路感染症などいくつかの疾患が見つかりました。彼女を迎えに行ったシェルターは殺処分を行うため、私たちの施設で引き取ることにしたのです。ミアの治療は長期戦の構えが必要でした。

高速道路で子猫を発見して1週間。あの夜、子猫たちを連れて行った病院で、タキシードの子猫を担当してくれた獣医師はデーヴさんといいました。子猫はたくさんの検査が必要で、デーヴさんは大忙しでした。彼は子猫をオスだと言ったので、私は子猫をデーヴと呼ぶことにしたのですが・・・。後日、子猫はが女の子だと分かりました。でも私は、デーヴという名前が彼女に合っていると思いそのままにしました。デーヴの目は順調に回復し、体重も少しずつ増えてきました。

一方ミアは、交通事故で骨折した骨盤に加え、いくつかの疾患を抱えていました。彼女の免疫力の低下がみられ、そのため皮膚や耳に炎症を起こしてしまいました。一時はかなり苦しい時期を過ごしたのですが、彼女は強い精神力で苦境を乗り越え、治療を開始して1か月が過ぎると、骨折以外の感染症などの疾患からかなりの回復をみせていました。体力の回復を待っていた骨盤の修復手術の予定が決まり、さらに前進を続けていました。

治療をはじめて約3ヶ月、ミアは骨盤の修復手術を終え、後ろ足に自由を取り戻すことができました。ミアは、辛い闘病や後ろ足の不自由と常に前向きに向き合っていました。術後、里親さんの家で過ごしていたミアを引き取りたいという女性が現れました。女性はミアを『私のかわいこちゃん』と呼んで、目に入れても痛くないほどのかわいがりようです。私たちはミアを心から祝福しました。

すっかり回復したデーブは、里親さんの家で私が出会ったときと見違えるほどの成長を見せていました。閉じていた目がぱっちりと開いた彼女は、かわいらしい個性を発揮しています。9月に入り、ようやく新しい家族を探す準備が整ったデ―ヴは、先に人間のママのところへ旅立って行ったミアに続くでしょう。
あの日、ミアを迎えに出た私は、デーヴと偶然出会い、2匹の子猫の数か月を見てきました。彼女たちは懸命に生き、それぞれに幸せをつかんでいきます。お昼寝をするデ―ヴの寝顔は、明るい未来を予感しているようにいつも微笑んでいるように見えます。