その後ジェームスは長い間引き取り手が決まらないままシェルターで暮らしていました。そして2年前のある日、サンフランシスコにあるシェルターを訪れた私が、ジェームスを見つけ家族として迎えたのです。私の家での最初の夜、ジェームスはとても落ち着かない様子でした。

私の家の隅々まで確認したジェームスは、お気に入りの場所を2か所見つけたようでした。ジェームスは途方もない時間をテーブルの下で身を潜めて過ごしていました。そしてもう一か所。ランドリーバスケットの中で洗濯物と一緒に一日の殆どを過ごすこともありました。

ジェームスは私から身を隠せるような場所を好んで選んでいたのです。無理もありません。5回も飼い主に見放された彼は、深く傷ついていたに違いありません。新しい家に来ても不安でいっぱいだったのでしょう。私は、ジェームスを待つことに決めていました。そしてジェームスが、私を必要としたときに精一杯受け止めようと決めていました。

長い時間を経てジェームスは、いくらテーブルの下に潜んでいても、バスケットの中に隠れていてもそれ以上の満足は得られないのだと気付いたようでした。そしてジェームスは、私が彼を決して手放さないことをようやく理解したようでした。ジェームスは彼本来の穏やかな甘えん坊の姿を見せるようになったのです。

ジェームスを迎えて1年後、彼は命を脅かす膀胱閉塞を患い、私は死の恐怖に怯えました。しかし3週間後、計り知れない強運をもっていた彼は無事生還し、私を狂喜させました。ただ1点、前脚の信じられない剃毛痕が気になりましたが。

ジェームスと暮らし始めて2年。私が自宅で仕事をしていると、ジェームスはじっと私を見詰めています。いつの間にか彼のお気に入りは、私の腕枕で昼寝をすることになっていました。きっとジェームスは私を見捨てることはないでしょう。

『もうそろそろ撫でてくれてもいいんじゃないか?』ジェームスがお腹を撫でてくれと言っています。
私とジェームスは需要と供給のバランスが絶妙の相性だったのかもしれません。なぜなら私は一度たりともジェームスに手がかかり過ぎると感じたことがありません。私と彼は一緒に暮らす運命だったのでしょうか・・・。