子猫を連れてきた女性は以前から野良猫の保護をしている方でした。私たちは主に、爪を除去されたために負傷した猫たちの足を回復し、歩行に関するリハビリを行っています。私たちのもとへ彼女が連れてきた子猫は、生後数週間。お腹を空かせていた子猫はご飯を自力ですべてたいらげました。この子猫に食事のための介助は全く必要ありませんでした。

私たちは早速、子猫が歩けるようになるための計画を練り実行に移しました。子猫の下半身の感覚を取り戻すために、鍼灸治療と電動ブラシによるマッサージ、他にいくつかの治療を始めました。私たちの脊椎損傷が原因の歩行障害の治療は、脳とつま先がおしゃべりをするようなお互いの連携を取り戻すことから始めます。

治療をはじめて数日後、子猫は麻痺した後ろ足の感覚を取り戻してきました。氷のかけらを後ろ足の肉球にあてると『冷たい』と感じて足を動かすようになりました。子猫は自分の後ろ足の存在に気が付いて、少しびっくりしたようです。この反応は、子猫の脚の筋肉が萎縮するのを防ぐのに有効なのです。

子猫は里親さんのもとで暮らしながら、治療を続けることになりました。子猫はウェイバリーと名付けられました。私たちは、彼女の小さなつま先と小さな肉球にリハビリ療法を施していました。ウェイバリーの成長は順調で、少しずつ遊べるようになって、ぬいぐるみを相手にプロレスごっこを楽しんでいました。

治療をはじめて3週間。ウェイバリーの足は氷を当てられると、タップダンスを踊るようなステップを踏むようになっています。短い間なら自力で立ち上がるようになったウェイバリーは、着実に回復に向かっていました。ポールを使った歩行のリハビリでは、ウェイバリーはポールをまたぐことができるようになっていました。

そしてウェイバリーは自力でトイレを使えるようになりました。ウェイバリーは、オムツから解放されました。少しずつではありますが、生活に必要な運動機能をまたひとつ確実に発揮することができるようになったのです。ウェイバリーは里親さんに毎日マッサージをしてもらいながら頑張っていました。そんな彼女の頑張りに、私たちの方が逆に励まされていました。

私たちの施設で約1か月の治療を受け、ウェイバリーの後ろ足は一歩一歩回復に向けて歩みを進めていました。ウェイバリーは里親さんの家で一緒に暮らすベルベットととても仲がよく、ベルベットはウェイバリーの遊び相手になってくれています。ウェイバリーは、ベルベットのしっぽでたまとりをするのがお気に入りなのだそうです。

ウェイバリーを運んでくれたド―ベルマンがいなかったら、彼女の今は存在しなかったでしょう。彼女の麻痺していた後ろ足と尻尾では、野生で生き延びることはできません。彼女は毎日リハビリを続けています。私たちは、ウェイバリーが自由に歩き、走り、飛び上がることができる日を楽しみに治療を続けています。