私たちは猫を放っておけず、そのまま動物病院へ連れて行きました。猫は生後3か月ほどでした。私たちが心配したとおり、ケガを負った右目の状態はかなり深刻で、獣医師に摘出するしかないと言われました。しかし、猫の衰弱が激しいために手術を受けるには体力を取り戻す必要がありました。

猫はそのまま動物病院へ入院し、私たちは毎日彼に会いに行きました。私たちが出会ったとき、猫はグレイの毛だと思っていました。数日後、お風呂できれいにしてもらった猫は、驚いたことに白にトラのような縞模様を持ったとてもきれいな猫でした。

さらに数日後、始めは生後3ヶ月と思われていた猫は2歳だったと分かりました。それまで猫が過ごしてきた外での生活が、いかに厳しかったのか・・・私たちは小さく痩せた猫に心が痛みました。無事に手術を終えた猫は、行くところがありません。猫は我が家の一員に加わりました。

私たちは彼をパイレーツと呼ぶことにしました。辛い暮らしの末に右目を失った彼に、この困難を乗り切りこれからの人生を前向きに生きてほしい、そう願いを込めました。でも、パイレーツには私たちのそんな想いなど必要ありませんでした。

彼は、右目を無くしたことなど気にもしていないようでした。パイレーツの表情はどんどん明るく変わっていきました。すっかり回復した彼は、我が家での生活をすぐに楽しめるようになったのです。イタズラっぽい生き生きとした表情で小さな冒険を繰り返していました。

彼はおしゃべりが好きで、唸るのも好き、そして親愛を込めたキスをするのが大好きです。私たち家族は勿論、一緒に暮らす先住猫たちとも挨拶代わりによくキスをします。パイレーツはとても友好的な海賊です。

私たちはパイレーツを救ったかもしれません。でも、彼と暮らし始めて多くを得たのは私たちの方でした。前向きに生きてほしいと名付けたパイレーツの名前でしたが、彼は荒れ狂う嵐のような辛い経験をみごとに乗り切るたくましくて強い心を持っていたのです。これからも人懐っこい我が家の海賊は、楽しい冒険を続けるのでしょうね。