彼の名前はナナクリ、通称クリです。ナナクリはハワイの言葉で『盲目』を意味し、彼が拾われた町の地名でもあります。ナナクリと私の出会いは地元の動物保護施設Catfrendsでした。彼は生後間もなく、栄養失調と左目に重度の感染症を抱えた状態で保護されていました。

ナナクリは命を守るために左目の摘出手術を受けました。片目を失ったナナクリでしたが、光を失ったからこそ新しい世界を見つけることができました。ナナクリは小さいころからお風呂が大好きでした。『もしかしたら・・・』私の趣味のサーフィンをナナクリと楽しめるようになるかもしれない・・・。私はナナクリを連れて海岸へ散歩に出かけるようになりました。

ナナクリははじめての海を怖がるどころか、寄せては返す波を見るなり興奮して波打ち際へと走り出しました。私は、彼のためにサーフボードの先端にストッパーを装着し、彼専用の特等席を作りました。そして彼のライフジャケットを用意しました。ナナクリが生後6か月のときでした。

私とナナクリは時間をかけて少しずつ一緒にサーフボードに乗れるようになっていったのです。ナナクリはポイントまで自分で泳いでいきます。ナナクリは、はじめから水を怖がることはありませんでした。むしろ、のびのびと泳ぎ海を楽しんでいました。

波を切るボードの先端で、ナナクリは波と風と太陽を全身に感じて楽しんでくれます。今はまだナナクリを連れて行くのは小さな波の時だけです。でも、もっと大きな波に挑戦するのが目標です。ええ、私たちなら必ずできるようになると思っています。

ナナクリは、私がビーチバッグに手をやると『行くの?今日はぼくも行けるよね!今日の波ならぼくは大丈夫だからね!』・・・足元で早く連れて行ってくれとせがむようになりました。

勿論、天候や波の状態によっては連れて行けないこともありますし、ライフジャケットを装着してもらうこともあります。それでもナナクリはできれば毎日でも海に出たいと思っているようです。

片目を失い、一時は瀕死の状態だったナナクリ。片方の目から光を失ってしまいましたが、海という広大で自由な世界を知り、サーフィンという楽しみを見つけることができました。海に入ったナナクリは地上より自由でいるように見えます。今日もナナクリは海に愛されています。