始めは全く動かない子猫を死んでいるのかと思いました。しかし、自転車を降りて近付くと子猫の背中が呼吸で上下しているのが分かりました。でも、子猫は目を閉じて動きません。子猫のからだの方から何かが流れていた跡があります。ケガをしているのではと思い、傷を探しましたが見つけることができませんでした。

夫のザークが子猫にそっと手を添えました。私たちは、子猫を道路の脇に動かすまで10分ほど子猫の側にしゃがみこんでいました。すると・・・『動いたね』『ええ、意識があるわ』子猫が少しずつ動き始めたのです。

私たちは小猫を自宅に連れて帰ることにしました。車に乗せると、背もたれに上り鳴き声を上げるようになっていました。ザークの手のぬくもりが子猫に元気を与えたのでしょうか。

自宅に戻ると子猫のからだをきれいにしました。それから3時間おきに哺乳瓶でミルクを与えました。子猫は始め、哺乳瓶をなかなかうまく吸えませんでした。『・・・そうだよね、哺乳瓶は始めてだものね』私の指にミルクの滴を落とし、子猫の口へ持っていくと子猫はペロペロと舐めました。そうやっているうちに、子猫はだんだん哺乳瓶からうまく吸えるようになっていきました。

私たちは小猫をミラと呼ぶことにしました。ミラの左後ろ足に違和感があり、しっぽは毛を噛み切られていました。動物病院へ連れて行くと、ミラが動けずにいたのは恐らく、なにかに襲われたのではないかと言われました。

哺乳瓶をうまく使えるようになったミラは、たくさんのミルクを飲んで元気を取り戻していました。甘えん坊のミラは私やザークの肩に乗るのが大好きです。今日もまた、私の肩で眠ってしまいました。

我が家に来て1か月。ミラは家中の探検に忙しくしていました。我が家にはイズコという1歳半の猫がいます。ミラとイズコはすぐに仲良くなり、寝るときはイズコがミラを抱くようにして寝てくれました。

ミラが我が家に来て半年が過ぎようとしています。すっかり成長したミラは、とても美しい猫に成長しました。はじめて会ったときの弱々しいミラを忘れてしまいそうです。こわくて辛い思いをしたミラでしたが、ザークの手のひらのぬくもりをミラが感じてくれたことから始まったような気がします。我が家に来てからのミラは、私たちにとってまるで天使のような存在でした。それはこれからもずっと変わりません。