私たちがベンベンのことを知ったのは、動物病院で働いているサンディが殺処分の迫ったボロボロの野良猫の話を聞いたときでした。ベンベンは大きな動物に襲われて脊椎を損傷し、耳はまるでカリフラワーのようにちぎれ、全身に大けがを負った状態で保健所に保護されました。治療を受けましたが彼は二度と歩けず痛みが残るという診断を受けました。そのため、一度は保護施設に引き取られたものの引き取り手が見つからず、再び保健所に戻されてしまいました。

ベンベンは希望を失くし、食べることを拒否するようになっていました。飼い主が見つからないまま時間だけが過ぎていき、ついに殺処分が明日に迫った日、ベンベンの話を聞いたサンディと私は保健所に彼を迎えに行きました。保健所でケージから出してもらったベンベンをサンディはしっかりと抱きしめました。『大丈夫よ、あなたの居場所はちゃんとあるの』

車に乗ったベンベンは自分に何が起こっているのかまだ理解していないようでした。ずっと不安そうな表情をしていました。家に連れ帰ったベンベンと一緒にバスルームでしばらくを過ごし、この家がベンベンの居場所だということを理解してもらいました。1時間ほどするとベンベンはようやく私たちと一緒に暮らしていくのだと分かったようでした。

我が家の暮らしに慣れ、ベンベンの表情は明るく変わっていました。先住猫ともうまくやっていました。そうしてベンベンが元気を取り戻す中、サンディは彼に時間をかけてリハビリを施していました。ベンベンにもっと楽しんでほしい・・・それだけを願っていたサンディは、べンベンの足を走れるまでに回復させることができたのです。ベンベンの元気な姿に、かつてお世話になった保護施設や保健所の方たちは驚くと同時に心の底から喜んでくれました。

ベンベンが私たちの家族に加わって4か月が経ったとき、私たちはノーマンという子猫の存在を知りました。ノーマンは小脳形成不全という先天的な障がいをもって生まれ、生後4~5週で捨てられ保護施設で暮らしていました。小脳形成不全の障がいを持つ猫は、程度の差はありますが、足元がふらついたり常に頭が揺れているなどの症状があります。健康上の問題はないのですが、ノーマンはその障がいゆえに長い間引き取り手が決まらないということでした。

私とサンディは、ノーマンにとって我が家こそ理想の家になると思いました。ベンベンはノーマンの良き理解者になると思ったのです。ノーマンを引き取って来たとき、ベンベンはすぐにノーマンの側に寄り添ってくれました。ノーマンはベンベンのおかげで私たちとの暮らしにすぐに溶け込むことができたのです。ヤンチャなノーマンにベンベンは懐深く、辛抱強く付き合ってくれました。

ベンベンはノーマンを自分の弟のように感じているようです。ノーマンをいつも見守り何かと気遣っています。ノーマンもまた、ベンベンを兄のように慕い、2匹はお昼寝をするとき抱き合って眠っています。彼らはお互いの痛みを理解し合い、特別なニーズを補いあっているようです。ベンベンとノーマンの生き生きと輝く姿は、なにものにも代えがたい私たちの宝物です。