Mr.ピクルスは、2013年私たちの施設に現れるようになりました。彼はとても賢く、自動ドアのキーポイントに立ってドアを開けることを学習し、施設の中に自分で入ってくるようになったのです。当時の彼は痩せていて、みんなはご飯をもらいに来ているのだと思っていました。

Mr.ピクルスはすぐに施設の人気物になりました。居住者の方たちは彼が来るのを楽しみにするようになり、スタッフにも笑顔が増えました。私たちは、Mr.ピクルスがどこからやってきているのかを知りませんでした。しかしその後、Mr.ピクルスが飼い猫であり、当時の飼い主にあまり面倒を見てもらえていないことが分かったのです。

Mr.ピクルスは満足にご飯を与えられていなかったために、栄養失調になり何度も入退院を繰り返していたというのです。彼が毎日この施設に来ていたのは、留守がちな飼い主に相手にしてもらえず、とても淋しい思いをしていたから・・・。私たちは、彼を想い心が痛みました。

そんなMr.ピクルスの生活に意外な展開が待っていました。Mr.ピクルスの飼い主が突然施設にやってきてこう言ったのです。『引っ越すことになり、猫を飼えなくなってしまったんです。ここで引き取ってくれませんか』勿論、この申し出にみんなが大喜びでした。Mr.ピクルスはすでにこの施設を選んでくれていたのですから。

Mr.ピクルスは居住者のひとり、マリオンさんの部屋を拠点にするようになり、通ってきていたときと同じに、施設中を自由に動き回っています。夜になるとマリオンさんのベッドで一緒に眠り、朝起きる時間になるとマリオンさんの頬を叩いて時間を知らせるのだそうです。

施設にはステッキを使う居住者の方が数人います。彼らはMr.ピクルスがテラスを歩くと彼の後を付いて行きます。腰を下ろしたMr.ピクルスの顎を、ステッキで撫でるのを楽しみにしているのです。『ステッキの先で顎を撫でると、Mr.ピクルスが気持ちよさそうな顔をするんだよ』

Mr.ピクルスは特別な猫かもしれません。彼は施設のイベントの殆どに参加してみんなと一緒に楽しんでくれます。映画の上映はお気に入りのようで、上映が始まると彼はスクリーンの前を歩き始めます。それを見て居住者の方たちはとても喜んでいます。Mr.ピクルスは居住者の方たちの心に寄り添い、その顔に笑顔を増やし続けています。Mr.ピクルスがこの施設を選んでくれたのは、自分に何ができるのかを知っていたから・・・かもしれませんね。