動物病院で診察を受けると、獣医師にこんなことを告げられました。『この子は3日ほど脱水状態が続いていたようです。手当をしても助かる可能性はとても低いでしょう』私たちが子猫を見つけたゴミ箱は、高い塀に囲まれていて子猫が自分で入れるような場所ではありませんでした。誰かが故意に子猫を捨てたのです。私たちは心が痛みました。

私たちは子猫を連れて帰り、お世話をすることにしました。ところが、衰弱した子猫はミルクを飲ませようにもなかなか口を開けてはくれませんでした。私たちは、科学実験で使うピペットでミルクを滴にして子猫の口に垂らしたり、何とか飲んでもらおうと試行錯誤を繰り返しました。

始めの24時間は、二人ともほとんど寝ることができませんでした。でも、私たちの思いが通じたのか2日目に入ると子猫は少しずつミルクを口に入れてくれるようになったのです。子猫の食欲が出てきたので、今度は哺乳瓶に変えて時間ごとにミルクを与えました。

ミルクを飲み始めた小猫からは、生きたいという意思がはっきりと伝わってきました。私たちは協力して昼夜2時間おきに子猫にミルクを与え続けました。

10日後、子猫の目が開きました。ぱっちりと丸い目をしています。子猫は自分のベッドから抜け出して、家の中を探検し始めました。見るものすべてがはじめてのもの、キラキラした目でどこまでも冒険しようとしたのです。私たちは、子猫にホークラックと名前を付けました。

ホークラックは私たちどちらにも、常に体の一部をくっつけていたいようでした。ホークラックが私たちのベッドに一緒に寝ていると、布団の下で私たちをつかんで寝ているのです。本当に甘えん坊なのです。

私たちはカジートという猫と一緒に暮らしてきました。カジートは、ホークラックがとても気になっていたようですが、効果的なタイミングでホークラックに自分の存在をアピールしにやってきました。そして、カジートとホークラックはとても仲のいい親友になりました。

ホークラックは私たちが家にいるときは常にあとを付いて回ります。彼女は私たちがトイレにはいると、ドアを開けるまで扉を引っ掻き続けるのです。どうやら、ほったらかしにされたと感じるようで『私も入れて!』と訴えているようなのですが・・・(笑)
もう助からないと診断されたホークラックでしたが、瀕死の状態でも彼女は強く生きる意志を持っていました。私たちは、そんなホークラックをサポートしたに過ぎません。今の幸せは、あの時すでに始まっていたのです。