それは、新年を数日後に控えたとても寒い日でした。母猫は痩せた身体にパンパンに膨らんだお腹をしていて、間違いなく臨月を迎えていました。私たちは、猫をサニーと呼びお世話を始めました。すると、里親をしているアンさんがサニーの出産を自宅で引き受けてくれると申し出てくれました。

アンさんの家で出産の準備をしていたサニーは1週間後の午後11時、いよいよ出産の時を迎えました。ところが、出産が始まって数時間後、サニーに予期せぬことが起こってしまいました。サニーの異常に気が付いたアンさんは、動物救急病院へ連れて行ってくれました。

サニーのお腹には5匹の子猫が宿っていました。4匹は順調に生まれたのですが、最後に残った茶トラの1匹が産道の頂部から動かなくなってしまったのです。子猫にとってもサニーにとってもとても危険な状態でした。獣医師は最後に残った1匹を帝王切開で取り出すことにしたのです。

取り出された子猫は息をしていませんでした。獣医師は先に生まれた4匹の処置をしていましたが、獣医師の助手は5匹目の蘇生を続けていました。誰もが諦めかけていたとき奇跡が起こったのです。5匹目の子猫が呼吸を始めました。小さな子猫は必死で戦っていたのです。

子猫の状態が安定するよう24時間の看護を経て、子猫たちは無事退院することができました。アンさんの自宅に戻ったサニーの親子は、アンさんが準備してくれていた専用のスペースにいました。サニーは、自身も手術後で疲れた身体だったにも拘らず、決して子猫の側から離れようとしませんでした。そんなサニーをアンさんは付きっきりでサポートし、一緒に子猫のお世話をしてくれたのです。

子猫たちはサニーからたっぷりの愛情とたっぷりのミルクをもらっていました。アンさんには子猫たちが小さな体で一生懸命生きようとしているのがひしひしと伝わってきたそうです。5番目に生まれた茶トラの子猫も、兄弟に負けないくらい力強く、懸命に生きようとしていました。

サニーに愛情を注がれた子猫たちは、その後すくすくと成長することができました。2か月を過ぎるとはっきりとそれぞれの個性を見せ始めていました。5匹はとても仲がよく、いつも一緒、とても陽気な子猫たちです。凍てつくような冬の町をさまよっていたサニーは、たくさんの人たちに支えられ、大変な出産を乗り越えて愛情深い強い母に成長しました。もうすぐ、子猫たちはそれぞれに旅立って行くことになります。苦難を乗り越えた子猫たちです。きっと、温かい家族のもとへ旅立って行くことでしょう。