猫は、古びた倉庫の側に倒れているところを、運よく解体に訪れた作業員の方たちに発見されました。恐らく、交通事故に会って負傷した身体を癒すために、自力で倉庫の側にたどり着いたようです。連絡を受けたスタッフが動物病院で緊急処置をしてもらい、私たちの施設に運んだのです。

猫は生後1~2年、発見されたノーマン・ロードにちなんでノーマンと名付けられました。ノーマンの治療とリハビリには数か月が必要でした。ノーマンはいつも機嫌がよく、世話をするスタッフたちにかまってもらえるのがとても楽しそうでした。スタッフたちもそんなノーマンをとても可愛がっていました。

すっかり回復し歩けるようになったノーマンは、早速施設中を探検して回りました。彼は相変わらすいつもご機嫌でした。そして、いつの間にか施設の入り口で訪れる人たちを出迎えるようになりました。そう、パトロールをしていたノーマンは、自然とドアマンの役目を買って出てくれたのです。

ノーマンが施設に来て以来、約1,500匹の猫たちがこの施設から新しい家族のもとへ旅立って行きました。勿論、ノーマンも回復と同時にそうする予定だったのです。しかし、ドアマンを務める彼をスタッフたちはどうしても手放す気になれず、私たちが家族となり施設の猫として正式に迎えることになりました。

ノーマンは施設の猫として活動の幅を広げていきました。施設のイベントにも参加し、彼専用のベンチで来場者や入場者のお出迎えの役割を務めてくれました。彼は、施設でもイベントの会場でも訪れる人たちを笑顔にしてくれたのです。

ノーマンは、彼のように保護された猫たちにとっても頼りになる存在になりました。施設の生活に慣れない後輩たちに寄り添ってあげたり、一緒に遊んだりしています。今彼は、後輩猫のベッツィーとブレンダとかくれんぼの真っ最中です。

ノーマンは、この施設の扉を最初に通った保護猫でした。彼は保護された猫たちが必要とするケアの一端を担い、施設を訪れる人たちに何をするべきかを心得ています。それは、誰に教えられたのでもなく、彼が自主的に始めたことです。

今夜も1日の役割を終え、自分のベッドで眠りについたノーマン。彼はとても充実した日々を送れているようです。また明日も誰かの笑顔を生み、淋しい思いをしている仲間をいたわります。そして新たに保護され、連れて来られる年間何千匹にも及ぶ猫たちを温かく迎えてくれるのです。