子猫を見つけた辺りに母猫の姿はありませんでした。私たちは家に9匹の猫を飼っています。その子猫に母猫が必要なことは十分わかっています。しかしその日は、ひっきりなしに車が行き交い、駐車場はいっぱいの状態でした。騒々しいこの場所に母猫が戻ってくるとは思えませんでした。

子猫は目を閉じ、まだへその緒の名残がついた状態です。産後の後始末もそこそこなようでした。私は子猫を布の袋で包み、胸に抱きました。するとずっと鳴いていた子猫はピタリと鳴き止んだのです。自宅にいる家族に事情を話し、主人の運転で急いで戻りました。

我が家に戻ると、家族の手で子猫のためのミルクや哺乳瓶、子猫専用の寝床が用意されていました。早速、ミルクをあげると、子猫はまだ見えていないのに哺乳瓶に手を伸ばしたのです。『この子は大丈夫、きっと大きくなれるわ。』

子猫を温かく保つために、専用の寝床の中に布を巻いたランプを入れました。はじめての夜、子猫はぐっすりと眠りにつきました。それから5週間、私たちは交代で子猫にミルクを与え、それぞれに睡眠不足の日々を過ごしました。

4週目を終わるころ、少々遅い離乳の時期を迎えました。私たちは小猫をセバスチャンと名付け、愛称のセビと呼ぶようになりました。セビの目が開きました。そろそろよちよち歩きが始まりそうです。

いよいよセビは、専用の寝床を卒業しました。すでにかつての寝床の周辺は確認できているようで、これから家中の探検が始まるはずです。

私たち家族は、セビが何をしてもそのしぐさに心が和みました。そして、セビは私に抱かれるとほほにキスをしてくれました。『これはお礼のキスかしら?』いいえ、大きくなってくれてありがとう、お礼を言いたいのは私たちの方でした。

セビは、どうしても家族にしたいという私の親友が引き取ってくれました。今でも、私は頻繁にセビに会うことができますし、彼女たちならセビもきっと喜んでくれています。・・・実は、セビのセバスチャンがセバスチアナに変わりました。私たちはセビをオスだと思っていましたが、実はメスだったことが親友のおかげで判明したのです。いずれにしても愛称はセビなのですが。親友の家にも犬が飼われていて、セビは始めから可愛がられていました。我が家と親友の家族の両方がセビの成長を楽しみにしています。