子猫を保護したとき、辺りに母猫の姿はありませんでした。状況を考えると、母猫は出産して間もなく亡くなってしまったか、子猫を置いて行ってしまったかだと思いました。子猫を手にのせたとき、まったくと言っていいほど重さを感じませんでした。でも、子猫は兄弟の中で一番小さかったのに、一人生き残っていました。私は、この子猫を必ず大きくしようと思いました。

子猫は生後1~2日、まだへその緒が付いた状態でした。勿論目も開いていません。私は自宅に戻ると、哺乳瓶でミルクをあげました。子猫はよほどお腹がすいていたのでしょう、勢いよくゴクゴクと飲んでくれました。

子猫は、お腹がいっぱいになると私が用意した毛布にくるまってぐっすりと眠りました。私は獣看護師として働いていますが、生後間もない子猫を育てるのは初めてです。こうして24時間体制のお世話が始まりました。

子猫の世話をするために、仕事場へ一緒に連れて行きました。子猫の食欲は旺盛で、お腹が空いてミルクが待ち遠しくなると、私の指をチューチューと吸うこともありました。

少しづつ動けるようになった子猫はお気に入りの場所を見つけたようです。私の肩によちよちとのぼり、そこで眠るようになったのです。一時でも一人になるのが嫌なようです。私の肩は、子猫にとって母猫のぬくもりと同じに感じられたのでしょう。

ゆっくりと成長を続ける子猫はようやく目が開きました。目が見えるようになっても、子猫にとって私の肩が一番のお気に入りのベッドでした。一時も離れようとしないのでどこへ行くにも一緒です。

3週間が経過し、子猫の体重は約160gになりました。まだまだとても小さいのですが、保護したときに比べれば重さを感じることができます。確実に彼は大きくなっています。兄弟の中で唯一生き残った子猫は、必死で鳴いて『生きたい』と言っているように見えました。これから待っているたくさんの楽しい冒険を前に、彼は着々と準備をしています。