ナツメグが私たちの施設に保護されたのは昨年9月のことでした。ナツメグは保護されるまで野良猫として生きていました。予測不能な敵と戦ってきた彼の過酷な生活が、ナツメグのなんとも悲しそうな表情に残されていると思うと心が痛みました。

ナツメグの一日も早い回復を目指し、スタッフは彼の看護に励みました。ナツメグが回復するまでにはかなりの期間を要しましたが、その間、スタッフたちは彼が人との生活に早く慣れるように心を砕いていました。

鼻の感染症も痩せていた身体もほぼ改善されたとき、ナツメグの表情はまだ悲しそうなままでした。ナツメグは彼を迎え入れてくれる家族を探すための準備段階に入り、採用センターで他の保護猫たちと一緒に、人間との生活に慣れるためのトレーニングを受けることになりました。

トレーニングを終え、施設に戻ってきたナツメグでしたが、彼の表情はそのまま、ちょっとふっくらしましたが、相変わらず悲しそうでした。それから数か月、ナツメグの引き取り手はなかなか見つからないまま過ぎていきました。

施設に若いカップルがナツメグに会いたいとやってきました。タイラーのガールフレンドがオンラインでナツメグの写真を見つけ、彼をこの施設に連れてきたそうです。タイラーは一目でナツメグを気に入ったようでした。彼はナツメグを抱き上げるとしっかりと抱きしめていました。タイラーの胸でナツメグがゴロゴロと喉を鳴らして喜んでいました・

そして、ナツメグはタイラーたちカップルに引き取られていきました。世界一悲しい顔をしたナツメグは、彼の悲しそうな表情であたたかい家族と出会うことができたのです。私たちスタッフは彼の表情が大好きでした。

タイラーたちの家に引き取られ、ナツメグは彼らとの生活にすぐに慣れたそうです。ナツメグはソファがお気に入りの場所で、タイラーと一緒に横になって過ごすのだそうです。タイラーいわく、ナツメグはタイラーが遊んできた猫の中で最もおっとりした性格で、遊びが好きなほうの部類に属する猫なのだそうです。

タイラーが送ってくれた写真を見て、私たちはとても喜びました。だって、ナツメグが笑っているのです。彼らしく控えめに、でも、はっきりと分かる笑顔をナツメグは私たちに向かって見せているようでした。タイラーたちのおかげで、世界一悲しそうな猫は、世界一幸せな猫に変わった、私たちはそう思いました。