私は定期的に動物レスキュー隊のボランティアをしています。同僚の彼は私が到着するまでの間、彼のジャケットに子猫をくるんで温めてくれていました。『ひどい臭い』なんて言っていたのに親切な人です。子猫は生後4週間くらいでした。

彼の話では辺りに母猫の気配はなかったそうです。私が到着してからも、母猫の姿を見ることはありませんでした。恐らく、子猫が臭いを付けられたことで、母猫は子猫を置いて行ってしまったのでしょう。私はしばらくの間子猫の世話をするために、自宅に連れて帰りました。

動物病院で診察を受けると子猫は生後4週、健康面に問題はありませんでした。私は2匹の猫と暮らしてきましたが、彼らのために幼い子猫の世話をすることはとてもいいことだと考えていました。しかし、私自身こんなに小さな子猫の世話は初めてです。いずれ里親さんを探せる時期がくるまでお世話をしよう、そう思っていました。

しかし、その計画を根底から覆す事態が待っていました。我が家の猫、トラ縞のロメオです。ロメオは私が子猫をお風呂に入れた後、早速近づいてきました。子猫の匂いを嗅いだと思ったらそのまま毛繕いを始めたのです。それ以来、ロメオは小猫のそばを離れなくなりました。

ロメオはまるで子猫のお父さんのようでした。文字通り、彼は子猫に付きっ切りで世話をしていたのです。寝るときも子猫を抱いて寝ていました。こんなロメオは見たことがありません。私は驚いてしまいましたが、ロメオと子猫を見ていると計画は変更せざるを得ない、子猫を手放せなくなったと思いました。そして、私は子猫をモモと呼ぶことにしました。

モモの名前は日本語の「桃」に由来しています。桃の甘い果実は、ロメオを父親に変えたモモにぴったりだと思ったのです。ロメオとモモはまるで接着剤を付けたよう、ぴったりとくっついたまま一時も離れませんでした。

もう1匹の猫、茶トラのフィコの対応は至って普通でした。モモの良き遊び相手で、時にはちょっとした意地悪もしていました。3匹はとても仲がよく、愛情深い父のようなロメオと、ヤンチャな兄のようなフィコに囲まれて、モモはすくすくと大きくなっていきました。

すっかり立派に成長したモモは、体格的には父も兄も少し追い越してしまいました。でも、ロメオに対してはご覧のとおり。いつまでもデレデレの甘えん坊のままです。ロメオの方も、大きな息子にはとても甘い優しい父です。一人ぼっちで置き去りにされたモモでしたが、余りあるほどの愛情を注いでくれる父と、思い切り遊べるヤンチャな兄と出会うことになりました。あの日、同僚の彼は、ジャケットの中に素敵な宝物を温めてくれていたのです。