当時の彼はその余りある元気さと強い個性が災いして、なかなか新しい里親さんと巡り合えずにいました。施設に戻って数か月がすぎたころ、スタッフのひとりが彼のあるクセに目を付けました。

シグムントは通りに面した場所でガラスを舐めるクセがありました。通りの方から見ると、シグムントが行き交う人に向かってヤンチャなキスを贈っているように見えたのです。『いい味出しているかも・・・』

スタッフは彼の写真をSNS上に投稿し、さらに、シグムントが立つガラスに彼の写真とメッセージを貼り付けました。そのメッセージは『ジグムンドは新しい家族を探して奇妙な作戦に挑戦しています。あなたは猫を飼うだけでなく、窓の洗濯機も手に入れます!』・・・とてもユニークなものでした。

すると、私たちの施設のFacebookや、スタッフの書き込みにシグムントに対するコメントが世界中から寄せられたのです。シグムントの素朴な魅力に魅せられたという人たちが、あとからあとから現れました。

ついに、どうしてもシグムントを引き取りたいという一家が現れました。そしてシグムントはそのお宅に家族として迎え入れられたのです。ええ。今でもシグムントはそのお宅で元気に・・・元気すぎるくらい元気で幸せに暮らしています。

シグムントにとってとても幸運だったのは、そのご一家がが、元気で個性的なシグムントをありのままで受け入れてくれたことです。シグムントが家の中で大ジャンプをしても、網戸を破壊しても、せっかくのベッドメーキングを台無しにしても、それが彼なのだと一家は気にしていません。シグムントは一家の中でいつも中心にいるそうです。それこそが、シグムントが理想としていた生活です。彼は、彼の個性を武器に、愛情あふれる家族と出会うことができたのです。